皮肉にも同日にトヨタは、2023年の世界新車販売がグループ全体(ダイハツと日野を含む)で22年比7%増の1123万台、トヨタ単体(トヨタ・レクサスブランド)で8%増の1030万台だったと発表したばかりだった。グループ全体と、トヨタ単体ともに過去最高であり、単体で1000万台を超えるのは初となる。いずれも独フォルクスワーゲン(VW)を上回り、4年連続で世界首位を堅持した。

 また、近く24年3月期連結決算が発表されるが、本業のもうけである今期営業利益は過去最高となる前期比65%増の4兆5000億円を確保する見通しだ。まさに「トヨタ一強」が浮き彫りになる中での、トヨタグループの不祥事に対応する最高責任者会見となった。

 豊田会長は自身の社長就任時以来の出来事を振り返り、リーマン・ショックによる赤字転落、品質問題による米議会公聴会への出席などの経験から「14年前に一度つぶれた会社であるトヨタ」を変革してきたことを強調し、グループ3社の不正対応を「会社を作り直すくらいの覚悟で、強みを生かし変革の仕方を探すことを責任者としてやっていく」と述べた。

 当面の具体的な動きとしては「グループ17社の株主総会にすべて出席して状況を把握し、現場と商品軸のグリップを固めていく」こととした。

 一連の不正問題が発覚したトヨタグループ各社を見ると、いずれもグループにおける重要な企業だということが分かる。

 トラック(商用車)の日野、軽自動車・小型車のダイハツと、トヨタ本体にない領域をカバーしていることに加えて、トヨタの源流会社でグループ御三家に数えられる豊田自動織機は、フォークリフトで世界トップシェアの位置付けにある。さらに、いずれも自社ブランドと共にトヨタからの受託生産を行なっている。