豊田自動織機は、豊田会長会見の前日の29日に特別調査委員会と伊藤浩一社長らによる会見を開催したが、ここでも見えたのは、日野自・ダイハツと同じ光景だった。
豊田自動織機は23年3月にフォークリフト用エンジンの性能試験でデータを差し替える不正行為があったことを発表していたが、今回の特別調査委の報告によると、トヨタから委託している自動車用ディーゼルエンジンの出力試験の不正が発覚したほか、フォークリフト用エンジンでも新たな機種で不正が判明した。
伊藤社長は「弁明の余地がない行為。トヨタとのコミュニケーションが不足し、試験のプロセス、守るべき手順の擦り合わせが十分、行われていなかった」と、陳謝した。
豊田自動織機といえば、豊田会長の祖父の喜一郎氏が同社からトヨタ自動車工業を分離独立させた、いわばトヨタの“源流・本家”である。トヨタの完成車の委託生産やエンジン委託生産を含む多岐にわたる事業を展開し、先述したフォークリフトのほか、カーエアコン用コンプレッサー、エアジェット織機のシェアは世界トップである。会長には、トヨタ中興の祖とされる豊田家分家筋の豊田英二氏の次男の豊田鐵郎氏が就任している。
このグループ3社の不正問題は、トヨタにとってそれぞれ「要の企業」であるだけに由々しきことだ。豊田会長にとっても14年のトヨタ社長としての経歴を傷つけるものとなったことは否めない。