「こんまり」こと近藤麻理恵さんは世界で最も有名な日本人の一人。彼女の世界進出を手がけたプロデューサー兼夫である川原卓巳さんは、「仕事ツールやビジネスウエアを選んでいく四角さんの手法は、ときめきを軸にモノを選ぶこんまりメソッドとも共通点があります」と語る。
お二人の対談の途中からは、こんまりさんも参加して、「贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資して、可能性を最大化する」ための戦略書――『超ミニマル・ライフ』(四角大輔著)をテーマに、「働き方(ワーク)と暮らし方(ライフ)」の整え方、仕事の成果と人生の幸福度を最大化について、語っていただきました。

【川原卓巳×こんまり×四角大輔】人生がときめくだけじゃない――「お片づけ」が仕事にもたらす最大効果とは

尊敬と感動、それにあきれも(笑)混ざる気持ちがこみあげてきました

川原卓巳さん(以下、川原) 昨年の『超ミニマル主義』に続き、新刊『超ミニマル・ライフ』も読破しました! まさに四角大輔のすべてがつまっているような内容でしたね。「大半の仕事を辞めて、収入を半分にしてまで書いただけあるな」と。尊敬と感動、それにあきれも(笑)混ざる気持ちがこみあげてきました。

 僕は大輔さんのこれまでの本はすべて読んでいるけれど、この2冊はまさに集大成。『超ミニマル』という言葉は斬新だし、何より信念があるから、この本が世の中に受け入れられて、ヒットしたことをうれしく思っています。制作過程は大変だったんですか?

四角大輔さん(以下、四角) この3~4年は他の仕事をせず、この『超ミニマル』シリーズ2冊だけを書いてた(笑)。これは僕の集大成になるだろうと、編集者さんが「悔いのないよう全部吐き出してほしい」とアドバイスをくださったのを受けて書き切ったら、1000ページ、47万字という大作が完成。編集者さんに送ったら、「印刷しようとしたら、プリンターが止まりません」と悲鳴が(笑)。

人生100年時代における【日本人のためのライフシフト大全】

 書き終えた原稿は「好きに思い切り削ってください」と編集者さんに預けました。すると、「これは集大成なので、無理に削って一冊にまとめるのはもったいない。二つに分けましょう」となり、まずは前半500ページ分をブラッシュアップしたのが、前作の『超ミニマル主義』で、後半をブラッシュアップさせたのが『超ミニマル・ライフ』です。

 この2冊はいわば、人生100年時代における【日本人のためのライフシフト大全】です。「モノ・情報・データの整理」「コミュニケーション術から仕事術」「タスクとスケジュールの管理術」「働き方と暮らし方メソッド」「心と体の健康法」「人間関係・ヒット理論・お金」までを全網羅して【幸福度と成果を最大化するための全技法】を公開しています。物質面と精神面の両方で身軽になることで、一発屋じゃない持続的な成果を出しながら、「100年ライフ」を幸せに生きるメソッドをまとめた戦略書なんです。

川原 仕事ツールやビジネスウエアを選んでいく手法は、ときめきを軸にモノを選ぶこんまりメソッドとも共通点がありますよね。

四角 昔から片づけが好きで、多くの「片づけ本」を読んできた。でも、こんまりさんの本『人生がときめく片づけの魔法』に出会って、「これは決定版だ」と感動して、それ以降は片づけの手法が一気に進化した。

 こんまりさんの本が、家の片づけを通して人生を整えるための本だとすれば、僕の『超ミニマル』シリーズの2冊は、「働き方(ワーク)と暮らし方(ライフ)」を整えることで、仕事の成果と人生の幸福度を最大化するための本になるかと。そして、仕事の成果と、人生の幸福度を高めるためには、人生の土台である「暮らし=部屋」の片づけは外せません。

 実際に僕自身が、部屋が整っていないといいパフォーマンスを維持できない。「仕事と暮らし、どちらを先に整えればいいか」という問いには、「暮らしが先」と即答します。

片づけに向き合う期間を決めて、集中して取り組むのが最も効率がいい

近藤麻理恵さん(以下、近藤) 『超ミニマル主義』STEP4のMethod10~12にある「部屋を軽くする」には、「3ヵ月以内に有休を取って一気に片づけよう」と書かれていますよね。この集中して一気に片づけることは、本当に大事なんです。

 世の中では「日常の隙間時間で片づけよう」などとも言われています。しかし【自分の本質的な価値観】に気づき、人生を劇的に変化させたいなら、片づけに向き合う期間を決めて、集中して取り組むのが最も効率がいいんです。

【川原卓巳×こんまり×四角大輔】人生がときめくだけじゃない――「お片づけ」が仕事にもたらす最大効果とは四角大輔氏のニュージーランドの自宅にて、こんまりさんと

四角 『超ミニマル主義』の中で、「部屋を軽くする」の部分は3つのMethodにわたって書きました。そこでは、こんまりさんの著書『人生がときめく片づけの魔法』を、一推しの参考図書として紹介させてもらってます。

『人生がときめく片づけの魔法』は、作業としての片づけの背中を押す力が、世界で一番強い本

近藤 片づけについては、多くの人が「方法論は分かっているけれど、手がつけられない」と悩んでいます。そういう意味では、私の書いた『人生がときめく片づけの魔法』は、作業としての片づけの背中を押す力が、世界で一番強い本のひとつだと思います。

 だからこそ、『超ミニマル主義』を読んで「片づけたい」と思ったら、『人生がときめく片づけの魔法』と2冊セットで読んでもらえると、熱いモチベーションを保って、片づけに向き合えるといいと思います。

 もちろん、『超ミニマル』シリーズの2冊と『人生がときめく片づけの魔法』には、考え方の異なる部分もたくさんあります。そもそも私は、シンプル主義でもミニマル主義でもないんですね。家の中を、ときめくものだけにしたいという考え方なので、ほかの人から見たら余計なモノや、なくてもいいモノもたくさんあるはずです。

 加えて、私は片づけにしか興味がなくて、片づけはできるけれど、それ以外のことはできません。でも四角さんは、持ち物も働き方も生き方も、本当にミニマルを極めている。それは大きな違いですね。