関連事業まで経済効果に含めるなら
コストも同じ土俵で比べるべきだ

 文字量がかさんできたのでまとめるが、大阪万博の経済効果には2種類ある。厳密な意味での経済効果と関連事業も含めた経済効果だ。

 厳密な意味での経済効果では、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果は全て排除されなければならない。となれば「沖縄旅行へ行くはずだったが、大阪へ行った」「お昼ご飯を神戸ではなく万博の敷地内で食べた」「建設工事の順番において大阪万博を優先した」では、経済効果にはならないのである。現在の試算より限定的なものにとどまることが、お分かりいただけるだろうか。

 そして、間接的な関連事業まで経済効果に含めるのであれば、道路や鉄道を含むインフラ整備事業費などにかかる約9兆7000億円、「空飛ぶクルマ」の実証実験など万博に向けた各府省庁の事業の実施費用である約3兆4000億円も、コストに含めなければならない。

 アジア太平洋研究所が算出した拡張ケース2の経済効果である「3兆3667億円」でも、到底足りないことになる。大幅なマイナスだ。

 経済効果の算定は、大阪万博の計画の有無に関係なく発生する経済効果を全て排除して計算し直すべきだ。

※1 Barclay, J. (2009) “Predicting the Costs and Benefits of Mega-sporting Events: Misjudgement of Olympic Proportions?” Economic Affairs 29(2), 62-66.
※2 Baade, Robert A., and Matheson, Victor A. (2004). “Mega-Sporting Events in Developing Nations: Playing the Way to Prosperity?” South African Journal of Economics 72(5), 1085–1096.