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60歳で定年を迎えたあとも働き続ける人が、男女ともに増えてきました。本連載では、定年前後の働き方にまつわる情報を、厳選して掲載しています。今回のテーマは「男性の定年、女性の定年に違いはあるの?」「男女の違い、L字カーブって知ってる?」です。(社会保険労務士 佐佐木由美子)

*本記事は、佐佐木由美子『1日1分読むだけで身につく定年前後の働き方大全100』(自由国民社)を再編集したものです。

男性の定年、女性の定年に違いはあるの?

 私たちにとって、「定年制」はごく自然なものと思われているかもしれませんが、日本特有の雇用慣行ともいえます。高年齢者雇用安定法が1986年に制定されるまでは、定年制はあくまでも企業の雇用慣行であって、法律に基づくものではありませんでした。そのため、かつては男性が55歳に対し、女性は50歳や45歳定年という格差も珍しくありませんでした。結婚・出産等を理由とした「結婚退職制」もあったくらいです。

 現在、企業が定年制を設ける場合において、男女ともに60歳を下回ることは法律によって禁じられています。もし、古い就業規則や社内慣行によって、性別で定年年齢に違いがあったとしても、法律が優先されることを覚えておいてください。

男女間での雇用差別はNG男女間での雇用差別はNG

「定年まで、その後も働いている女性のロールモデルが少ない」という声をよく耳にします。それは、仕事と育児を両立できる雇用環境の整備が進まなかったために退職する女性が多かったことや、50代以降は家族の介護のために退職する女性が多いことなどが考えられます。今は仕事と育児や介護の両立を後押しする法律も整備されていますので、さまざまな制度を活用し、自分のペースで働き続けることを考えていきましょう。

【10秒チェック!】現在、定年に関して性別による格差はありません。定年が65歳未満の職場では、継続雇用制度等によって男女ともに原則65歳まで働くことができます。