ビルの外を眺めるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

どうすれば仕事ができるようになるのかがわからず、悩む会社員は少なくない。大手コンサル勤務時代に8000人以上のビジネスパーソンと接し、彼らの成功と失敗事例を見てきた筆者が、とっておきの学びを提供する。※本稿は、安達裕哉『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

仕事ができる人とダメな人の違いは
人とのめぐり合わせの運でしかない

 新卒で会社に入ったとき、多くの人は「仕事ができるようになりたい」という願望を持ったはずです。それがいつの間にか、半年、2年、3年、10年と経つうちに、「とりあえず日々の仕事をこなせればいいや」と思うようになってしまうことがあります。わたしもそういうときがありました。

 いったいなぜ、そしていつから「仕事ができるようになりたい」という願望が消えてしまうのでしょう。

 それはおそらく、仕事で何度も「壁」にぶつかり、大きな無力感を覚えたからではないでしょうか。あるいは、上司の理不尽な命令に怒りとあきらめを感じたからかもしれません。

 いずれにせよ「もう、この状況は自分には変えられない、どうしようもない、大過なくやり過ごすことが一番だ」と思ったとき、「仕事ができるようになりたい」という願望も霧散してしまうのです。

 しかし世の中には、そうした壁を乗り越えて「仕事ができるようになった人」もまた、存在します。彼らはどうして壁を乗り越え、理不尽を克服したのでしょうか。

 単純です。それらの壁や理不尽を乗り越える方法を、教えてくれる人が身近にいたからです。彼らを「恩師」と呼んでもいいかもしれません。

「恩師」は彼ら自身が、身をもって学んできた方法を、自分の部下や後輩にわかりやすく伝える力を持った人たちです。実際、わたしにもそうした人たちがいて、コンサルティングの仕事で困難にぶつかったとき、うまくそれを解決したり、時には回避したりする方法を教えてくれました。

 したがって、「恩師」を持つことができた幸運な人は「仕事ができる人」になり、そうでない不運な人は「仕事なんてどうでもいいや」とあきらめてしまう。結局「運しだい」と言ってもいいのかもしれません。

 しかしそれはあまりに、人材の活用という観点から見て、もったいないことです。そこで私は、コンサルティング会社を辞め起業したとき、それまで学んだことを、できるだけ文章化し、論理的にかつ実践的に「形式知」となるようにブログにすることにしました。それが、私が運営するメディアである、Books&Appsの生い立ちです。

 今でこそ「コンサル」は人気の職業であると聞きます。しかし、私が籍をおいていたころのコンサルティング会社は、「長時間労働」「成果主義」「パワハラ」が普通の「ブラック企業」の代名詞のような存在でした。