もし予算が足りなくなった場合は、栄養価のバランスは二の次になっても、もやしなどの安い食材を駆使しながら給食をなんとか存続させるしかないでしょう。もちろん教育委員会から栄養面について指導が入るでしょうが、背に腹は代えられません。

 SNSで時たま「今の給食はこんなに貧相だ!」などというコメントとともに給食の画像が投稿されて「子どもたちがかわいそうだ」と話題になることがあります。

 子どもたちがかわいそうだという点はまったくもって同感ですが、私は物価高と格闘しながら必死にその献立を作ったであろう同業の方の心中を思うと、いたたまれなくなってしまうのも事実です。

 予算を浮かせたい時に活躍するメニューはまぜごはんです。肉の単体料理や魚の切り身を丸ごと使う献立に比べると、使用する肉・魚の量は格段に減らせます。唐揚げなら1人あたり60グラムの肉が必要ですが、まぜごはんの場合、1人あたり20グラムあれば十分です。

 さらに野菜ときのこもたくさん混ぜればボリューム感も食べやすさも増す上、野菜やきのこの摂取量も増やせます。栄養価を満たしつつ、予算は安く済ませられて大助かりです。

3月の献立は豪華になりやすい?
予算配分は栄養士の腕の見せ所

 とはいえ、節約しすぎて予算を極端に余らせてしまうのもこれまたNGです。「予算を余らせたほうが栄養士の先生はほっとできるでしょう?」とよく聞かれますが、余らせすぎてもいけないのです。

 年度末の時点で1人あたり1食ぶん以上の給食費が余った場合は、児童ひとりひとりに返金しなければなりません。給食費が1人あたり1食250円・児童数が600人の学校の場合、予算が15万円以上余ったら返金です。

 返金作業には多大な手間がかかるので、「うまくやりくりしたお金なんだから、来年度に繰り越しをさせてもらえたら助かるのになぁ」と栄養士の立場としては思います。

 しかし、それでは卒業生が少し損をして、新入生が少し得をすることになってしまいます。そのような不公平感をなくすためにも、1食ぶん以上の予算が余ったら返金という原則になっているわけです。