給食費の内訳は食材費のみです。一般的な飲食店で支払う価格には食材費以外に電気・ガス・水道などの光熱費、人件費が加わっていますが、給食の場合、それらは税金で賄われます。
もし、一般的な飲食店のように諸経費すべてを給食費で賄おうとすると、1食1000円は超えるでしょう。さらに土地代も加味すれば、場所によって1食2000円を優に超え、都会のこじゃれたレストラン並みの価格になってしまうはずです。そう考えると、給食はかなりお得な価格に思えてきます。
先ほど述べたように、小学校給食費の平均月額は4477円(1食あたり約256円)ですが、実は自治体ごとに差があります。「令和3年度学校給食実施状況等調査」(文部科学省)から、小学校の給食費の平均月額が高い都道府県を見てみましょう。
1位 長野県……5090円(年間実施回数200回。1食あたり約280円)
2位 新潟県……5008円(年間実施回数194回。1食あたり約284円)
3位 徳島県……4969円(年間実施回数192回。1食あたり約285円)
一方、安い都道府県はどうでしょうか。
松丸奨 著
1位 滋賀県……3920円(年間実施回数189回。1食あたり約228円)
2位 長崎県……3975円(年間実施回数190回。1食あたり約230円)
3位 茨城県……4011円(年間実施回数197回。1食あたり約224円)
給食の内容に差があるので、「あそこの県の給食費は安くていい」などと単純に決め付けることはできません。
たとえば月額の給食費がもっとも高い長野県は、「長期休暇が短いため、年間の提供回数が多く、月平均で計算すると高く計上されがち」という集計上の理由もあります。また、地場産物など地域に根ざした食材を使うことに強くこだわっているといいます。
しかし、月額給食費がもっとも高い県ともっとも低い県では、年間の給食費が1万2870円の差があるのも事実です。給食費の地域格差は今後広がっていくのか、狭まっていくのか、注意して見ていきたいところです。