年度末の3月までは月の予算をやや余らせるような節約ペースで予算を使い、「これなら予算が確実に余る」と確信できたら、今度は予算の使い切りを目指してメニューを豪華にするのが一般的です。そのため、3月の献立は豪華になりやすいのです。

 しかし、献立は半年前から計画していて内容はほぼ固まっています。予算が余ることがわかったからといって、それをどのように豪華にしていくのでしょうか。

 たとえば、節約系メニューを、直前にお知らせしてリッチメニューに替えていきます。活躍するのはエビや牛肉、どちらも普段はなかなか出せない高価な食材です。チキンカレーをビーフカレーやビーフシチュー、ビーフストロガノフにランクアップします。あるいはメインメニューをアジフライからエビフライに変更するなどして、余った予算を使い切るようにするのです。

「進級(卒業)を控えた3月だし、豪華でもいいんじゃない」と保護者にも好意的に受け止められることが多いですし、子どもたちはもちろんとても喜びます。

 ベテラン栄養士ともなると、3月ではなく年明けの1月ぐらいから豪華度アップの献立にしていきます。この按配は栄養士の経験や腕が問われるところです。

 こうした予算管理やお金のやりくりについて、栄養士になるための学校では基本的に学びません。というのも、すべての栄養士が学校で働くわけではなく、予算管理に携わらない栄養士職が多いため、学校で一律に学ぶカリキュラムにはなっていないのです。

 学校栄養士は予算のやりくり術を現場で身に付けていきます。食材の価格を日々記録することで、年間の価格の動きを把握し、予算の目星を付けることができるようになっていくのです。

なぜ1食260円ほどで賄えるのか
一般的な飲食店なら2000円超えも

 物価高の影響を受けて、近年は全国的に給食費値上げの動きが出ています。令和3(2021)年度の全国の小学校給食費は、平均月額4477円(1食あたり約256円)、中学校5121円(1食あたり約300円)で、過去最高額となりました。平成30(2018)年度の調査に比べて3~4%の値上げとなっていることがわかります。