あのメンバーはどうしてあの色?
色彩のマジカルな効果を科学する
『人を動かす「色」の科学』(サイエンス・アイ新書)
著/松本英恵
日本人は平均して1人あたり3.5個の銀行口座を持っているとか。お手元に通帳があったら、ちょっと見てみてください。何色ですか?ちなみに三大メガバンクのコーポレイトカラーは赤と青と緑。赤は「情熱や活力」、青は「信頼や誠実さ」、緑は「調和や成長」を表す色なので、銀行にはふさわしい色合いだし、他にも多くの企業や組織で使用されている──というような色彩に関する豆知識がいっぱいの本書の著者はカラーコンサルタント。「似合う色」「売れる色」「心をつかむ色とデザイン」を操るプロだ。
日常に溢れる色彩のマジカルな効果には、科学的な裏付けと、それをもとにした創意工夫がある。もう一つ例をあげるなら、76ページ。
「1年で2億ドルを稼ぎ出したGoogleの青とは?」
宮部みゆき 著
これはGoogleが自社のビッグデータを分析して「利用者のクリック数を最大化できる最高の青色」を突き止め、テキストリンクの表示に使ったら、広告収入が一年で2億ドル増えたというお話。ユーザーは、テキストリンクの色によって、クリックやタップの確率が変わるのだそうです。私らいいように操られてンだなあと思う半面、確かに、検索で表示されるテキストリンクが赤色や黄色だったら、「何かまずいのかな」と一瞬クリックをためらってしまうかも――と納得。人は、自分で意識している以上に「色」に左右されているのです。
ビジネスの場で役立ちそうなトピックが多いなか、第4章「自分やチームを成功に導く『色の法則』」で、「秘密戦隊ゴレンジャー」などの戦隊もののメンバーのカラー分けの法則と、個々のカラーが象徴するキャラクターや役割分担の変遷について分析しているパートが、ぐっと異色で興味深い。戦隊ものだけでなく、特撮ものというジャンル全体を「色の法則」で分析したらどうなるのか、ぜひ試みていただけませんか。今、正義の色は何色なんでしょう。