「読書に集中できなくなった…」読書家だった自分を取り戻すためのリハビリ法

大人になってから読書に集中できなくなった人も多いでしょう。夢中になって読んでいたかつての自分を取り戻すためには、どんなリハビリ法が効くのでしょうか。今回は、「元・日本一有名なニート」としてテレビやネットで話題となったpha(ファ)さんの新刊『人生の土台となる読書』発売を記念し、特別インタビューを実施。「一般的な生き方のレールから外れて、独自のやり方で生きてこれたのは、本を読むのが好きだったからこそ」と語るphaさん。子どもの頃も大人になった現在もずっと本を読み続けられている理由と、読書熱を再燃させるおすすめの方法について聞きました。(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

「本を読まなくてもいい」のは
幸せなことかもしれない

──大人になってから読書に集中できなくなった……という人もかなり多いのではないかと思います。phaさんは大人になってからも読書を楽しんで続けられている印象ですが、「本が読めない」という悩みにぶち当たったことはありませんか?

pha:僕も読む気がしないとき、よくありますね。若い頃は世界が狭いから、本にかけられる時間のウェイトも大きいけど、大人になると世界も広がるし、人間関係も増えていく。

 だから、本を読まなくてもいい状況になったというのは、ある意味幸せなことかもしれませんよね。友達が少ないほうが読書に集中できるだろうし

──たしかに(笑)。価値観の合う友人がいなくて、孤独を感じていた時期のほうが読書に没頭できていたような気がします。

pha:僕も10代の友達が全然いなかった頃が一番読書に集中できていましたね。身の回りにいる誰も、自分を理解してくれていないと思っていた頃、僕にとって本が一番の理解者でした

 だから、本を読まなくてもいいということは、本以外に自分を理解してくれていたり、受け入れてくれたりする場所があるということかもしれませんよね。とすると、無理に「本を読まなくちゃ」と思わなくてもいいのかもしれない

 でも、「昔みたいに時間を忘れて本に没頭したい」という気持ちはやっぱりありますね。入院したり刑務所に入ったりしたら読書がはかどるだろうな、と、ときどき考えてしまいます。

読書家の自分を取り戻す
「3つのリハビリ法」

──仕事や家事など、日常生活で疲れ切っていて気力が残っていない、というパターンもありますよね。学生時代は本の虫で、むさぼるように本を読んでいた。けれど、大人になってからすっかり読めなくなってしまった。どうにかまた読書家の自分に戻れないか……という悩みも多いのではないかと。何かいいリハビリ法はないでしょうか。

pha:体力・気力の問題もありますよね。僕も疲れているときは、ネットのどうでもいい記事しか読めないですね(笑)。ネットを延々と見てもまったく何もいいことはないんだけど、つい見てしまう。あと、大人になって経験が増えたこともあって、どんどん感動しづらくなっている、というのもあるかもしれませんね。

 おすすめの方法としては、

① 「読まなきゃ」と気負わず、5分程度のスキマ時間で読む習慣をつけること
② 「読書のための休日」を作ること
③ 有無を言わさないほど面白い本を探すこと

 の3つでしょうか。

──なるほど。「5分程度のスキマ時間で読む」というのは、phaさんもいつもされていることなんですか?

「読書に集中できなくなった…」読書家だった自分を取り戻すためのリハビリ法

pha:「読まなきゃ」と気合いを入れすぎるとかえって疲れてしまい、読むのが嫌になってしまうのかも。時間が限定されているときのほうが読む気が湧いたりするので、「お風呂が湧くまでの時間だけ読もう」とか、そういう細切れな時間で読んでみるといいかもしれません。

 僕はオンラインゲームで対戦相手とマッチングするのを待っている数分間だけ読む、みたいなのをときどきやりますね……。本を読む気がしないけど、なぜかその時間だけは読むことができる、みたいなのがあるんですよ。

──たしかに、「読書家になりたいから読まなきゃ!」と自分を追い込むよりも、「暇だから読むか」くらいの気持ちのほうが継続できそうですね。

pha:単純にエネルギー不足で読めない、という人の場合は、「読書のための休日」を作るのもいいと思います。本を読むためだけに有休を取るとか、ちょっと旅行に出かけてみて、旅をしながら読んでみるとか。

 現実の生活に追われているとまとまったことを考えにくいし、「あれをやらなきゃ」「これをやらなきゃ」と雑念も入りますから、いつもと違う場所で読んでみると集中しやすいかもしれません。