控除額が同じでも
高所得の人はより多く還付される
ポイント2:家族の中で所得の高い人が申告するのがお得
所得税の課税方法は、「超過累進税率」といって、課税所得が一定額を超えると、その超えた部分に一段階高い税率がかけられる仕組みが採用されている。現在、この税率は、次のように5%~45%の7段階となっている。
たとえば、課税所得400万円の人の場合、195万円未満の部分は5%、195万~330万円未満の部分は10%、330万~400万円の部分は20%というように、所得が一定額を超えるごとに、段階的に高い税率が課されるようになっている。
上の表は、所得税を簡単に計算するためのもので、課税所得400万円の人の所得税は、【400万円×20%-42万7500円=37万2500円】ということになる。
実は、この仕組みが医療費控除の還付金にも影響しており、控除額が同じでも、所得の高い人の方が、より多くお金が払い戻される可能性が高いのだ。
医療費控除額50万円(健康保険等からの補てんはないものとする)の場合で、課税所得による還付金の額を比較してみよう。
【課税所得による医療費控除の還付金の比較】
●課税所得500万円
A 医療費控除申告前は、所得税57万2500円が源泉徴収されている
B 医療費控除を申告すると、所得税は47万2500円(※1)に引き下がる
⇒ 還付金は、AとBの差額の10万円
※1(課税所得500万円-医療費控除額50万円)× 所得税率20%-42万7500円=申告後の所得税額47万2500円
●課税所得180万円
C 医療費控除申告前は、所得税9万円が源泉徴収されている
D 医療費控除を申告すると、所得税は6万5000円(※2)に引き下がる
⇒ 還付金は、CとDの差額の2万5000円
※2(課税所得180万円-医療費控除額50万円)× 所得税率5%-0円=申告後の所得税額6万5000円
医療費控除額が同じ50万円でも、課税所得500万円の人が申告したほうが、課税所得180万円の人より、還付金は7万5000円も多い。
医療費控除は、同一生計の家族の医療費をまとめて申告できるが、中でも所得の高い人が申告したほうが還付金は多くなる可能性が高いのだ。家族の中に納税している人が複数いる場合は、所得を比べて、多い人が申告するようにしよう。