予防や美容目的は対象外
しかし、認められる範囲は案外広い!

 原則的に、申告対象となっている医療費は、治療目的や医師の指示で使った費用で、予防や美容を目的としたもの、個人の事情で利用したものは認められない。

 たとえば、美容整形の費用や美容を目的とした歯科矯正、予防のためのビタミン剤や漢方薬、予防接種の費用、個人の都合で使った入院時の個室代などは、たとえ病院や診療所に支払ったものでも対象にはならない。

 だが、医療費控除で認められている医療費の範囲は意外に幅広く、次のようなものがある。

・病院や診療所に支払った医療費の自己負担分
・調剤薬局で支払った薬代の自己負担分
・医療機関までの交通費
・ドラッグストアなどで購入した市販薬
・不妊治療や人工授精の費用
・仕送りしている子どもや親の医療費
・医師の指示で行った鍼灸治療
・レーシックの手術代
・介護中の親の紙おむつ代 など

 このように、医療機関に直接支払ったもの以外でも、控除対象として認められている。特に忘れがちなのは、一人暮らしをしている子どもや、離れて暮らす高齢の親の医療費だ。医療費控除は、世帯ごとに計算するので、申告する本人のものだけではなく、生計同一家族のものもまとめて申告ができる。

 一人暮らしをしている大学生の子どもに仕送りしていたり、高齢の親の生活費を負担していたりする場合は、同一生計だと判断され、彼らの医療費もまとめて申告できるのだ。

 また、ドラッグストアで購入した鎮痛剤や抗アレルギー剤などの市販薬、医療機関を受診するために使った交通費も対象になる。昨年1年間にかかった医療費関連の領収書を集めて、対象になるものは余すことなく計上しよう。