勉強は基本的に「言葉」を使う訓練なため、言葉の理解があいまいなまま勉強しても成績はなかなか上がらない。語彙力は国語だけでなく、全教科においてとても重要だ。東大出身の筆者が「語彙力を身に付ける方法」を説く。※本稿は、西岡壱誠『東大生と学ぶ語彙力』(ちくまプリマー新書)の一部を抜粋・編集したものです。
言葉を理解しているかどうかで
勉強する内容すべてに影響がある
僕は「東大生が優れているのは語彙力なんだ」「語彙力があるから頭が良くなるんだ」と言っています。でも、みなさんの中には「語彙力だけじゃ問題は解けないんじゃない?」と思っている人も多いと思います。言葉というのは数式などとは違い、普段使っているモノのため、「これが大切です」と言われても「ホント?」と疑ってしまう気持ちはよくわかります。
言ってしまえば、みなさんからすれば早く部活でサッカーがしたいのに、顧問の先生に「サッカーの前には必ずランニングをする必要があるんだ。校庭を3周しろ!」と言われているようなものですよね。「えー、なんでそんな面倒なことしなきゃなんないの?」と思ってしまうことでしょう。
でもやっぱり、ランニングせずにサッカーをすると、体力がつかなくて後半までいいプレイができなかったり、怪我してしまったり、マイナスなことになってしまう場合が多いわけです。
これは考えてみれば、当たり前の話なんです。だって、サッカーというのはプレイ中ずっとコートを走っていることになるのです。90分間ほぼ休まずランニングしているようなものですよ。だから、ランニングができない人がサッカーがうまくなるわけがない。
「あいつは全然走れないけど、パス回しはうまいな」
「あいつ、まったく動かないけど、シュートだけはよく決めるよな」
みたいなサッカー選手はいないんですね。
語彙力もまったく同じです。だって、国語以外の科目も含めて、みなさんが勉強するために使っているのは言葉ですよね。理科や社会だって教科書に書いてある言葉を読んで覚えると思いますし、数学だって先生の言葉を聞いて公式を理解していくと思います。
英語なんて、「いやー、英単語は全然覚えられないんだけど、でも英語を読んだりしゃべったりするのは超得意なんだよね」って人は絶対いないじゃないですか。もっといえば、日本語で知らない単語なのに英語でだけは知っている人もめずらしいでしょう。サッカーが基本的にランニングをしているスポーツだとすれば、勉強は基本的に言葉を使う訓練なのです。言葉をきちんと理解しているかどうかで、この先で勉強する内容すべてに影響があるのです。