語彙力を勉強するということは、難しい言葉をたくさん覚えることではない。簡単な言葉を根本から理解し、そこから派生する難しい語彙を自分のものにしていくことなのだ。東大出身の筆者が語彙力が身に付く習慣を伝授する。※本稿は、西岡壱誠『東大生と学ぶ語彙力』(ちくまプリマー新書)の一部を抜粋・編集したものです。
最初にやるべきなのは
言葉の意味を根本から理解すること
最初に言っておくことがあります。
今日この日から、みなさんは、簡単な言葉でも、よく使う言葉も、1ミリでも知らないことがあったら、「意味を調べる」ということをしてください。
まず、多くの人が勘違いしていることとして、「語彙力の勉強というのは難しい言葉をたくさん覚えることだ」というものがあります。語彙力の勉強の手始めに難読漢字などの参考書を買う人は多いでしょう。そして「むむむ、確かにこんな日本語、自分は知らないぞ。きちんと覚えなきゃ」と暗記していくというやり方で勉強している。
みなさん、それは絶対にやめてください。難しい言葉の意味を丸暗記することになってしまって、後から振り返った時に「なんだっけ」となってしまいます。
私たちが最初にやらなければならないことは、「簡単な言葉の意味をしっかりと根本から理解すること」です。まずは、身の回りの、自分たちがよく使っているような言葉を、しっかり根本から理解する勉強が必要なのです。
簡単な言葉の意味を理解すると
難しい語彙の知識を獲得できる
ちょっと具体例をあげて説明しましょうか。
みなさんはヨーグルトって好きですか。あの味の一種に「プレーン」ってありますよね。食べたことがある人も多いと思います。が、あの「プレーン」って、どういう意味なんでしょう?
プレーン味のヨーグルトを普段から食べている人はたくさんいると思うんですが、改まって「じゃあ、あれがどんな味なのか説明してください」って言われると難しいですよね。「え、普通の味だけど……」となってしまうと思います。
結論から言うと、「尖ったところのない、平坦な味」のことを指します。「普通の味」と説明しようとしていた人はいい線いってます。ただ、言葉の意味としては「特別な特徴を持っていないような、平坦な味」という説明になります。プレーンは「平坦」という意味が本質なのです。
ここまでだったら、みなさんも「へー、そうなんだぁ」としかならないと思うのですが、問題はここからです。