書影『東大生と学ぶ語彙力』『東大生と学ぶ語彙力』(筑摩書房)
西岡壱誠 著

 みなさん、こういうポイントから改善していく必要があります。語彙力を手に入れたいのであれば、わかりにくくても、わかろうと努力すること。そうしないと、頭がそれ以上良くならないのです。

 さらに、これはどうでしょう?

 あなた「イノベーションって何?」
 友達 「パラダイムシフトみたいなもんだね」
 あなた「へー、パラダイムシフトって何?」
 友達 「イノベーションみたいなもんだよ」

 これもまたツッコミどころ満載ですね。このあと「イノベーションって何?」とあなたは再び聞かざるを得ないわけですが、そしたらまた同じ流れになって、無限に繰り返すことになるでしょう。いわゆる無限ループになってしまうわけですね。

 実際にこんな会話をしていたら笑ってしまいます。ただこれも、同じようなことを知らず知らずのうちにやってしまっている場合がけっこう多いのです。

 さっきの「衒学的」だって、「知識をひけらかすこと」とだけ覚えていたら、「じゃあ知識をひけらかすってどういう意味?」と聞かれた際の答えは「衒学的な感じ……」となってしまうはずです。ほら、ここにも無限ループが生まれてしまっています。

 このように、知識の丸暗記は、言葉の無限ループを生んでしまうわけですね。はっきり言ってそんな勉強では意味がない。語彙力を身に付けたいのであれば、知らない言葉を最大まで知ろうとする意識を持ちましょう。ぼんやりした理解に留まらず、丸暗記して無限ループするような覚え方はせず、意味を自分の言葉で説明できるくらいにしっかり理解するようにするべきなのです。