複雑な上に、リスクもある方法
本末転倒になってはいけない
こういう理屈も一つかとは思いますが、その高利率で運用できているはずのお金を借り入れし、1%以上の利息を付けて返金するのです。特に生命保険料控除は生命保険料の全額が対象ではないですし、もし返金できなければ、保障のつもりの生命保険を解約する事態にもなりかねません。小規模企業共済も、返済が終わるまえに共済金や解約返戻金を受け取ることになれば、貸付金相当額(貸付元金および延滞利子等)が差し引かれてしまいます。そうなると、制度を利用していた意味がなくなってしまいます。
何かしらの計画と自信があるのか、あるいは誰かに教わってそうしているのかもしれませんが、私から見ると「そんな面倒なことをしなくとも……」と思ってしまいます。生命保険を自分に必要なだけの保障に見直したり、小規模企業共済の掛け金負担を、投資をしていける金額まで減らしたりするほうが、分かりやすくていいはずです。所得控除の恩恵を期待しているうちに、本末転倒な結果になってしまうのではないかと心配です。
投資の制度がどんなに良くなっても、投資の基本は変わりません。つみたて投資をベースに、コツコツと積み上げていく。そのお金の出どころが自分の資産となる部分からの借り入れならば、借りた分を返済できる見込みがない、または利息が思っていたよりも高いという状況ではいけません。そして、しっかり返済ができる状態なのなら、それは家計から投資に充てるお金が出せるということとイコールなのです。
新NISAは無理に、急いでやるものではありません。小難しいことは不要、シンプルに考えましょう。「自分が毎月出せる金額で、無理なくコツコツ進める」、あくまでもこれが基本です。