中学受験ブームの盛り上がりの一方で、ミスリードな情報や誤解も拡散されている。受験指導のプロで教育系YouTuberの“にしむら先生”こと西村創さんが刊行した『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)は、そんな誤解や思い込みをただす入門書的な一冊だ。「受験界の魔物」だという偏差値に関する解説を、同書から一部抜粋・編集してお届けする。
偏差値は受験界の魔物
わが子の学力が、今どの程度なのかを知るための基準のひとつが「偏差値」です。受験をする以上、偏差値から目を背けることはできません。でも、わが子への期待からつい熱くなり、テストのたびに偏差値を見て一喜一憂していては、受験までメンタルが持ちません。
偏差値は便利な指標であると同時に、受験界の「魔物」でもあると私は思っています。偏差値の持つ負の力に当てられた親によって、しばしば教育虐待といえるような問題が起こっているからです。子ども本人も、偏差値が上がらなかったことで、受験が終わってからも自信をなくしたまま人生を送っている子が少なくありません。
こうした悲劇は、偏差値についての誤解から生まれます。ここでは、よく誤解されがちな7つのポイントを中心に、偏差値について説明していきます。