IDEOから学ぶ、視点を変える「水平思考」

 デザイン思考の実践で有名なIDEOという企業をご存知でしょうか。アップルやマイクロソフトを顧客に持つ、世界的なコンサルティング会社です。彼らが行っている社内のブレインストーミングの手法は、問題を解決するデザイン思考の技法として特徴的です。そのルールは次の7つです。

1. 判断や批判は後回しにしよう
2. 突飛なアイデアを歓迎しよう
3. 他人のアイデアに便乗しよう
4. 今会話しているテーマにだけ集中しよう
5. 一度に発言するのは一人
6. ビジュアル化してみよう
7. 質より量を追求しよう

 彼らはこれらのルールをもとにブレストを行い、数多くの案を次々と出していきます。こうしたブレインストーミングに限らず、さまざまな切り口を拡散する思考方法は、ロジカルな思考に対して、「ラテラルな思考」(水平思考)と呼ばれています。ロジカルな積み上げ型の思考だけでは辿り着けない、大胆な発想やクリエイティブな解決案にまで思考の幅を広げることを目的に利用されています。

 ライフデザインに置き換えて考えれば、何歳までにこういう実績を出して転職して、というプランをロジカルに積み上げていくというやり方ではなく、多数の選択肢を出してみたり、一見無駄に見えるようなことだったり非生産的であっても、単純にワクワクするようなことを優先してみるやり方で「自分内ブレスト」をするようなイメージです。

 僕は特に12が重要だと思っていて、「こんなこと言ったらバカにされるんじゃないか?」「恥をかくんじゃないか?」といった日本人にありがちな勝手な自主規制をやめて、白紙のスケッチブックにどこまで自由に描けるかがポイントだと思っています。

 これまでの計画書とは違うスタイルで、ビジュアルにしながら考えてみたり、ある時はクレイジーなほど一つのことに集中したり、関わる仕事のプロジェクトの量を実験的に増やしたりすることで、新しい発見が生まれるものなのです。

 いずれにしろ、アイデアもロジカルだけでは出てこないように、人生の計画もロジカルに積み上げるだけでは予定調和なものしか生まれません。けれど、そもそも予定調和な未来などあり得ないのです。人生という航海に出るにあたって、最初に描いた地図は意味を成しません。波の状態も随時変化し、目指していた島は消えているかもしれません。描かれた地図を抱え続けるより、コンパスを持って常に「違う視点」から未来を見続けることが大切です。

では、どのように視点を変えればいいのでしょうか。
次から少し掘り下げていきます。