つまらなかったら途中でも
ためらわず読むのをやめる
私にとって、本は2つの意味を持ちます。1つは「特定の目的のために見る質の高い情報源」。もう1つは「特定の興味関心にとらわれずに、さまざまな情報や知識を得るもの」です。
前者の場合の本の選び方ですが、古典的な名著と言われる本ならば、すでに歴史がその本の質の高さを証明してくれています。かたや最近出版されたものについても、現在はレビューやSNSなどで評判をあらかじめ知ることができます。外れを引く可能性は極めて低いと言えるでしょう。
読む目的は「仕事」「プライベート」「学習」の3つに分かれます。仕事のための本はビジネス書や技術書で、後でアウトプットする予定がある、つまり仕事で必要になるから読むことが多いです。プライベート目的では、趣味のランニングや登山の本、あるいは生活で必要になった不動産や親の介護に関する本などがあります。また学習目的では、語学の本を読んでいます。こうした特定の目的のための本は、必要なところだけ読むことも多いです。
一方、特定の興味関心にとらわれないで読む本は、本屋や図書館で気になったものを手に取るスタイルで選んでいます。
目的がある場合もない場合も、私は本がつまらなかったら、ためらいなく途中で読むのをやめています。私にとっては「読まなければ」「読み終わらなければ」という気持ちを持たないことが、本とうまく付き合うコツなのかもしれません。
かつては、やや“雑食”気味で手当たり次第に本を読み、仕事に役立てたり興味関心を広げたりする意識もありませんでした。しかし、最近ではサブスクリプションサービスなどもあり、どれも気軽に読めるようになったことで、こうした読書スタイルに変わってきたところもあります。本に囲まれているだけで、自分がいかに人類の知の一部にしか触れていないかが分かる気がします。
さて、次回連載では、今回紹介した『失敗の本質』をベースに、日本が今後もう一度グローバル競争で勝ち残るための「失敗」「成功」のあり方について考察したいと思います。
(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)