畜産物1キログラム当たりのカロリーの最大は豚肉平均3860キロカロリー、最低は牛乳の640キロカロリー、これに牛肉・鶏肉・鶏卵を合わせた平均を2000キロカロリーとすると、畜産物1キログラムを食べても、必要とする2400キロカロリーの83%程度しか満たすことができない。あと200グラム多く食べることが必要な勘定である(2000キロカロリー×1.2)。これに対して穀物1キログラムの平均は3500キロカロリーなので、1日当たり686グラム食べるだけで十分である(3500キロカロリー×0.686)。
畜産物は穀物の57%しかカロリーがなく、効率が良くないともいえる。畜産物を食べるほどに地球には飢餓が増える、ともいえよう。
畜産物は現状よりも約1億6700万トン少なくなるが、その方が地球に住むヒトの食料向けの穀物供給量が増え、飢餓で苦しむ人類を救うことができるとなればベターな選択ではあるまいか。
生産した穀物を人間と家畜とでどう分け合うかを、衰えつつある地球の体力と相談し、どちらが飢餓を救う対策として有効なのか選択せざるえない局面なのである。
先進国の人々は
穀物の消費を節約すべき
(1)先進国は1人1日100グラムの節約を
先進国に住む人々は概して食べ過ぎといわれる。先進国に中国を加えた世界人口の23億人が、1人1日100グラムの穀物(食料・畜産物飼料・加工食品・工業原料などすべての用途)を節約すると、年間8400万トンの節約になる。これらの節約された穀物は、食料の不足する国へ適切な価格で買われていくはずである。だが主食がごはんやパンの国が主食の消費を減らす一方で肉食を増やしてしまうと、この計画は破綻するので難しい面はあろう。すでに述べたように畜産向け飼料は非常に効率が悪いため、肉を食べるほどに穀物消費量は逆に増えてしまうからだ。
ビフテキやローストビーフが好きなアメリカ人・イギリス人の1人当たりパンの年間消費量は25キログラム程度といわれるが、これはフランス人・オーストラリア人・イタリア人・ロシア人は50~60キログラムといわれ、国によって大きな差がある。日本と違い、主食の概念が乏しいので、パンの比重が最大というわけではないからあまり意味はないかもしれない。ただ、肉を食べる量を減らすとパンの量は増える関係にあるようだ。