危険な行動とは?:ストレス、薬物使用、社会的孤立

 予期せぬ劇的な出来事が感情の悪化を引き起こし、心理的健康を変えてしまうこともありますが、気づかぬうちに光と影の隙間にはまり込んでしまうこともあります。これは前出のアンヘル・マルティン氏のケースであり、彼が記事内でも紹介している著書『Por si las voces vuelven(声を取り戻せたら)』(Planeta社)でその過程を語り、当時マリファナやエクスタシー、アルコールを摂取していた彼の奇妙な行動に気づいたのはパートナーであったと認めています。これらの摂取が引き金のひとつであったことが示されていますが、それだけではありません。

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 ロペス・イボル・クリニック(Clínica López Ibor)の医療部長イグナシオ・バスルテ(Ignacio Basurte)博士は、心理的苦痛を引き起こす可能性のあるその他の行動について、次のように述べています。

「仕事においては、職場でのストレスや感情的サポートの欠如が危険因子となる可能性があります。日常生活では、“薬物の使用”や“座りっぱなしのライフスタイル”、さらに“社会的孤立”がそれに当たります。また、個人的な人間関係では“別離”、“悲しみ”、“感情的なサポートの欠如”です。さらにSNSや依存症に関しては、“電子機器の過度な使用”や“ギャンブルへの依存”に注意する必要があります」

男性のメンタルヘルス、主な病態は何か?

 世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスとは「人々が人生のストレスに対処し、その能力を十分に発揮し、よく学び、よく働き、地域社会の向上に貢献できる精神的健康状態」としていますが、この定義は明確であると同時に不正確でもあります。

 一般的に精神疾患と言えば、さまざまな症状(うつ、双極性障害、強迫性障害など)を指しますが、専門家によるとこの不調は、ホルモンや心理的、社会文化的要因によって左右されるため、女性と男性では現れ方が異なります。

 サニータスのカミン氏は、男性の方が以下の3つのような外的な病態を示しやすいと断言します。

「ひとつは、ありえない状況で過度の恐怖や心配を引き起こすストレスが挙げられます。もうひとつは、社会規範や法律に反する行動を含む反社会性パーソナリティ障害です。 そして統合失調症は、人の考え方や感じ方、行動を変化させ、妄想や幻覚、無秩序な思考に悩まされる障害であり、男性のほうが罹患率が高いのです」

Text by Virginia de los Ríos
Translation / Yumiko Kondo

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From: Esquire ES

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