誤解3:楽しくないと続かない
学びそのものは、最初から楽しいものばかりではありません。
私の場合、会計がそうでした。会計の基本知識である簿記を学び、実際に手を動かして経費の仕訳作業を経験しているときは、正直、楽しいとも苦しいとも思いません。
気持ちとしては、完全に「無色」でした。しかし、淡々と作業を繰り返していくうちに、だんだんと見える世界が違ってきたのです。週次・月次・四半期・年次と積み重ねることで「事業や経営が数字の面から立体化」していく様に、興奮を覚えるようになりました。「無色」で「作業的」だった簿記や会計が突然、カラフルに見えてきたのです。
インプットとアウトプットがつながった瞬間とでも言いましょうか、「これを武器にできるプロフェッショナルになってみたい」と関心を持ち、初めて会計っておもしろいなと思ったのです。
最初は苦しいもの、しんどいもの、もしくはまったく感情が動かされないものもあるでしょう。では、なぜそのつらさに耐えられるかというと、学びを通じて良質な経験を得ることでしか見えない世界があるから。これこそが「学びの醍醐味」だと思っています。
誤解4:やるからにはちゃんと成果を出すべきだ
学びと成果は、必ずしも一致するものではありません。どちらかといえば、「学んでも成果なし」のほうが普通かもしれません。資格を一つ取ったところで、給料や評価がすぐに変わることはありません。
成果はあとからついてくるものですから、成果を求めすぎないことも大切です。努力をしたプロセスや、がんばり抜いた経験が、のちの成功につながることもあります。
誤解5:学びは自分を変える・リセットするためのものだ
リスキリングという言葉が「学び直し」と表現されることが多いからか、学ぶことで自分をリセットする、学びで新しい自分になる、といった「学び=変化」というイメージをお持ちの方がいます。
ただ、私は「学び」を少し違う視点から捉えています。
学び=自分を変えるのではなく、あくまで自分は自分のまま。そこに学びを足していくイメージです。自分の得意分野や強み、経験を組み合わせていくことで、希少性の高いオンリーワンの人材になり、同業他社との競争にも差別化ができます。