「細くて弱い専門性」を
何本も束にする

「DX時代の人材戦略こそがリスキリングだ」なとどいわれてきたこともあり、40代、50代の中には、「学び」そのものに強い抵抗を示す人が一定数存在します。その裏には「これまで積み上げてきた自分のキャリアやスキルを全否定される恐怖」が隠されています。企業や組織が求める通りにスキルを上書きされるだけ。そう感じる人もいます。

 しかし、自分は自分のままでいいのです。上書きではなく、増設していく。今の自分に足し算をしていくのですから、リセットする必要などありません。

 むしろ組み合わせを考えると、学びや経験は複数あるほうが強くなるでしょう。二つ三つ、複数の学びを続けて、柱を複数作っていくほうが、これからの時代に合ったやり方ではないでしょうか。

 私自身、「細くて弱い専門性」を、3、4本束ねることでユニークな線になっているだけです。1本1本をはがしてみたら、スキルは弱いんです。でも、これらを束ねて線にしたときに強くなり、ちょっとユニークになるのです。

 五つの誤解、すべてにいえることは、学びに対するハードルを高くしていることです。

「~でなければいけない」といった完璧さを求めてしまうと、学びはどうしても息苦しいものになってしまいます。

 大切なことは、とりあえずやってみること。フットワークと心の軽さだと私は考えます。

 なんとなくやってみる、違ったらやめる、成果は気にせず、一つじゃなくて複数やってみる。自分を変える必要もない。このくらいでいい、いや、このくらいがちょうどいいのではないでしょうか。

 なぜなら、一人ひとりの「最高の学び方」は実に多様で、同じ人でもライフステージやライフスタイル、キャリアの変化などに応じて、刻一刻と変わっていくからです。

 なので、「学び方」の正解を求めるのでなく、自分に合った自分らしい「学び方」を探索したり、それが進化し続けるプロセスを含めて、毎日を少しでも豊かにしてほしい。そう思い、今まで見聞きしてきた『最高の学び方』を、事業をともにする仲間たちと一緒に本にまとめることにしました。

 人生100年時代といわれていますが、予測できない環境変化が世界中で、また身近にも起き続ける昨今。将来や明日以降の生活に対して何かモヤモヤするな、もしくは不安を感じるな、と思ったら、それは学びをスタートするサインかもしれません。

「今日が一番若い」ともいいますが、始めるならより若いほうが、その学びを活かせるのは言うまでもありません。この本を手に取ってくだり、ぜひご自身にとっての「最高の学び方」を知る旅を、一緒にスタートしましょう。