そこで、そのカエルは、さらに大きく息を吸い込んで、「私の体は牛のように大きいだろう」と自慢しました。しかし、やはり、家族のカエルたちは、「全然大きくない」とバカにしました。

 そのカエルは、さらに大きく息を吸い込もうとしたのですが、お腹を大きくふくらませすぎて、お腹が破れて倒れてしまいました。

 この話は、「自分自身に謙虚になり、自分の能力に見合った生き方をしていくことが大切だ」ということを示しています。

 虚栄心から「自分を大きく見せたい」という思いを抱き、実力以上の目標を掲げて、結局は気持ちがくじけて、自ら潰れていくタイプの人は、このイソップ物語に登場する「カエル」に似ているようにも思います。

 自分の弱さ、小ささをよく知って、そんな自分に謙虚になって生きていくことが、結局は自分にとっていちばん良いということです。

<くじけない心をつくるポイント>
自分の「小ささ」を良く知って、そんな自分に謙虚になる。

 詩人の北原白秋は、「自分の弱さを心から知り得た時、人は真から強くなる。真の自分を見出す」と述べました。

 自分の弱さを知っている人は、いい意味で開き直ることができます。

「私の実力では、今は、この程度のことしかできない」と開き直ると同時に、「今、自分にできることを、きっちりやっていこう」と決意し、実行するのです。

 そして、少しずつではあっても、着実に実績を出していきます。

 着実に自分の能力を向上させていくことができるのです。

 そういう人が、真の意味での「強い人」です。

 一歩一歩は小さな歩みであっても、途中でくじけることなく、着実に前進していくことで、だんだんと自分に自信がついてきます。

 その自信の積み重ねによって、その人は「真から強くなる」のです。

書影『くじけない心のつくりかた』(あさ出版)『くじけない心のつくりかた』(あさ出版)
植西 聰 著

 また、「焦ることはない。慌てることはない。自分のペースで、一つひとつのことをクリアしていけばいい」ということがわかってきます。

 それでも最終的には、大きなことを成し遂げることができるのです。

 したがって、自分ならではの生き方のペースはどの程度のものなのかが理解できてくるのです。

 それが、「真の自分を見出す」ということなのです。

「くじけない生き方」を考えるうえで、この北原白秋の言葉は、いろいろな気づきを与えてくれます。

<くじけない心をつくるポイント>
焦ることなく、慌てることなく、自分のペースで生きる。