ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

相手の言葉を繰り返す時に感情を乗せる「エモーショナルミラーリング」、10秒程度で説明できるニュースをストックしておく「レバレッジトーク」は雑談力の向上に欠かせないスキル。お笑い芸人で講演家の筆者が薦める2つのスキルを駆使して、話し相手の心をガッチリと掴もう。※本稿は、桑山 元『すぐに使える!おもしろい人のちょい足しトーク&雑談術』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

相手との共通点を増やし親近感アップ
心の声の『ちょい足し』で共感を伝える

 聞き上手はコミュニケーション上手。最近では傾聴のスキルも注目されて、色々な所でそのテクニックが伝えられています。

 傾聴というのはザックリいうと、相手の言うことを否定せず、共感しながら全部受け止めましょうという聞き方です。

 話し手は肯定的に受け止められたことを実感し、安心感や信頼を得ることができ、とても和やかに意見の交換、心の交流ができるのです。

 その中で特に有名なテクニックとして、「ミラーリング」というものがあります。ミラーリングは心理学の手法で、相手と同じ行動をとることによって、相手との同調を図るというものです。

 人間は本能的に対峙した相手を敵か味方かと判別しようとします。その時どんな基準で敵か味方かを判別するかというと、その基準の一つに「相手と共通点が多いかどうか」があります。

「好きなアーティストが一緒」「好きな野球チームが一緒」「出身地が一緒」など、たったそれだけでも随分と親近感が湧きますよね。

 それは話題や状況に限りません。行動面でも同じような行動パターンをとったり、同じような言葉を使ったりすると、無意識的に親近感が湧いてきます。それを意図的に引き起こそうとするのが、ミラーリング(相手の行動を鏡に映したように模倣する)というテクニックです。

 例えば傾聴では、主に相手が発した言葉を繰り返すことによって、相手が抵抗感を持つことなく、納得感を深めようとします。

「私、本当に疲れちゃって…」

「疲れちゃってるんですね」

 これ、うまくいくと本当に心地良い話し合いができるのですが、一歩間違えればオウム返しになりかねないのが難しいところです。

 話を聞いている側も「こんな受け答えでいいのだろうか?」と戸惑いを感じますし、話をしている側も受け止められているというよりは、何だかだんだん事務的に繰り返されている印象を受けてしまう可能性もあります。