そんな時にお勧めしたいのが「エモーショナルミラーリング」です。えぇ、私が勝手につけたネーミングです。全然難しいことはなく、相手の言葉を繰り返す時に、ほんのちょっとでいいので感情をノセて繰り返してみましょう、という話です。

 このミラーリングの言葉を話す前に心の声を『ちょい足し』します。それだけで感情がうっすらノリます。感情がうっすらノルと、自分の声のトーンやテンポが変わるのが実感できると思います。

 こちらのトーンや相づち(ミラーリング)のテンポが変わってくると、相手の反応も不思議なくらい変わってきます。

「私、本当に疲れちゃって…」

「(うわぁ~、そんなにも)疲れちゃってるんですね」

 傾聴で大切なのは、言葉を繰り返して受け止め感を演出するテクニックではなく、気持ちを繰り返して共感することです。ただ、いきなり相手の感情に寄り添い、共感するにはそれなりのセンスが必要になります。

 だからこそ、心の声で予備動作を行う「エモーショナルミラーリング」が効果を発揮してスムーズに導いてくれます。

 そして、ほんの少しでも言葉に感情を乗せる感覚が掴つかめると、たとえ同じ言葉を言ったとしても、バリエーションがかなり豊富になります。

 私は講演会などで「ガラスの仮面」というワークを行って、同じ言葉でニュアンスを変える練習をしてもらいます。

 例えば「すみません」でも、恐縮して言う「すみません」と、納得いかないまま、ぶっきらぼうに言い放つ「すみません」、嫌味ったらしく言う「すみません」では、まるで意味合いが変わってきます。

 この感覚が掴めると「そうなんですか!」「なるほど」「どうなったのですか?」という相づちだけでも10分くらいは軽く持ちます。しかも、相手はとても気分よくノリノリで。