農業に関連する、多くの経験を通して、曽根原氏が現在到達した考えは、次の通りだ。

「日本の農業の未来は、3つのあり方があると思う。1つ目は、規模の経済が発揮できる大規模農業。2つ目が、6次産業化や体験サービスなどを販売する付加価値型農業。3つ目が、半農半Xのようなライフスタイル農業。この三つのカテゴリーをそれぞれ伸ばせば、日本の農業は再生し、トータルで10兆円産業になり得る。日本の田舎には、放棄された農業の資源という宝の山がある」

 曽根原氏が耕作放棄地を資源とみたのに対して、海外に成長のチャンスを見いだしているのが、愛知県の生産者だ。

タイの大水田で
コシヒカリ栽培計画

 全国有数の農業地帯である愛知県田原市に本社を置く農業生産法人、新鮮組の岡本重明社長は、農業の国際化を90年代から強く意識してきた。

 背景には、「コストを考えた農業をしなければ日本の農家はいずれ生き残れなくなる」という読みと強い危機感があったからだ。

 純正部品に比べて価格が2分の1程度のトラクターの替え用の爪を中国の企業に依頼して生産・輸入して販売しているほか、椿油の搾りかすから取れる肥料や天然の土壌改良剤である安いヤシガラなどをアジア諸国から輸入・販売している。

 新鮮組は従業員9人、年商1億3000万円の会社だが、年商の3割近くを資材販売が占める。4年前には米国製法特許の「水性二酸化塩素」という耐菌性を生まない消毒用資材の販売も始めた。米国や欧州をはじめ世界では広く食品添加物として認められているが、日本では厚生労働省が、カット野菜など一部に認めているだけで、農業用としては普及していない。

「地元の菊栽培の農家は農薬が効かないウイルス系や細菌の病気に悩んでいた。試験散布で使った農家が欲しいと言ってきたので、作物に与える水を殺菌する資材として販売を始めた」(岡本氏)