「スキャンダルでお騒がせのみなさん、おはようございます。どうせ朝からヒマでしょ。シャンパンでもいかがですか?」

「お前はホントにひどいやつだなぁ」と二人はあきれつつ、朝からわいわい乾杯して、帰る頃には「今日は人生最高の日だ!」と元気になっていました。

 また、病や老いや死に対して、妙に気を遣って触れないようにする人がいますが、それが優しさとは限りません。

 あえて普段通りの距離感で接するほうが、相手をいたわる気持ちが伝わることもあります。

 たとえば僕は、高齢の両親に会うときも、「元気にしてた?」などとしおらしいことは言わず、「お、まだ生きてるね」などとうそぶいています。

辛辣なのに好かれる人

 昨今、おもしろいことを言おうとして、かえって失言につながったり、誰かを傷つけてしまったりするケースが増えていると聞きます。

 その主な要因としては、コンプライアンスやハラスメントに対する世間の風当たりが厳しくなっていることもあるでしょう。

 一方で、「自分がおもしろいと思われればいい」と、独りよがりな考え方をする人も増えているように感じます。

「2022年度アカデミー賞」授賞式の壇上で、俳優のウィル・スミス氏が、妻の持病による外見をジョークでいじったコメディアンを平手打ちした事件がありました。

 暴力に訴えるのはともかく、まったく関係性のない相手や、距離感のわからない相手から、いきなりひどいことを言われたら、いつの時代でも人は傷つきます。

 僕は、実家を出て30年以上たちますが、いまだに両親にほぼ毎日電話をしています。また、東京の自宅から実家までは、新幹線を利用しても片道1時間半かかりますが、月に一度は顔を見せに帰るようにしています。