日本政府もアップル・グーグルと対決へ、「巨大IT新法案」にアップルは猛反発記者会見する公正取引委員会の古谷一之委員長 Photo by Reiji Murai

米国のアップルとグーグルを標的にスマートフォンのソフトウエアの寡占を切り崩す新法案が国会に提出された。欧州で本格運用が始まったデジタル市場法(DMA)をモデルに、日本でも巨大IT企業の包囲網は強化されつつある。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

日本政府の巨大IT新法案の狙いとは

 ターゲットは、米国のアップルとグーグルが支配するスマートフォンの「モバイルエコシステム」だ。OSはアップルのiOSとグーグルのアンドロイドが寡占しており、その上に載っているアプリストア、ブラウザー、検索サービスも2社が掌握。故に国が介入してでも、スマホのソフトウエアの競争を妨げる2社の支配を切り崩さなければならない──。これが日本政府の巨大IT新法案の狙いである。

 公正取引委員会は4月26日、「スマホソフトウェア競争促進法案(スマホ新法案)」を国会に提出した。今国会(会期は6月23日まで)で成立させて、2025年末までの施行を目指す。

 スマホ新法案の特徴は、巨大IT企業に禁止行為を定めた「事前規制」を初めて盛り込んだことだ。独禁法は事後規制で、違反行為の認定に時間がかかるが、新法案はアップルとグーグルの2社を念頭に、モバイルOS、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンの4分野の禁止行為と義務を明確化。違反企業には、国内の対象サービスの売上高の20%の課徴金を科す。違反を繰り返せば30%に引き上げる。現行の独禁法の3倍以上の厳罰が科される新しい規制だ。

 新法案で禁止行為として明記したのは、アプリストアを自社のものに限定したり、他社の課金システムの利用を妨げたりすることだ。アップルはアプリ配信を自社運営のアップストア上でしか行っていないが、新法が施行されれば、アップストア以外で配信されたアプリについてもユーザーが利用できるようにしなければならない。

 また、アップルは、iPhoneのアプリ事業者がユーザーに課金をすると最大30%の手数料を徴収している。アプリ事業者が別の課金方法を使えるようになれば、アプリ事業者の収入増や利用者のアプリ代金の引き下げにつながる。

 次ページでは、日本政府の巨大IT新法案にアップルが大反発する理由と共に、欧米の規制強化に合わせて日本においても、米アマゾン・ドット・コムや米メタなどに規制の網が広がる可能性に迫っていく。