拙著『不機嫌な職場』でも定義しましたが、私は「組織力とは個々人の力と個人間のつながりで決まる(組織力=個人力×つながり力)」と思っています。つまり、一人ひとりの力ばかりでなく、その力がどう結びつくかが、重要なのです。

WBC日本代表を支えた
“個人力”の背景にあるもの

 日本代表チームが素晴らしかったのは、まずは個々人の力だったと思います。

 確かに、全体的に高い基礎力を持つ選手が集まっていたことは、事実です。たとえば、制球力抜群の投手陣をはじめ、きわどいコースを見極める選球眼、相手のボールをカットする高い技術、複数の守備位置をこなせる柔軟性、そして何よりも強いプロ意識――。

 こうした基礎力の高さがベースにあったことは、確かだと思います。

 同時に、選手一人ひとりが自分の武器(得意技)や突出したスキルを持っていたことも、大きかったでしょう。皆がホームランバッターではなくても、一人ひとりが個性的なピッチングやバッティングができる選手が集まっていました。このような「個性のバリエーション」に富んでいたのではないかと思います。

 この高い基礎力と一人ひとりの個性的な強みが、“高い個人力”を生み出していたと思います。

 しかし、「それだけでは、やはり優勝はできなかったのではないか」と私は思います。WBCで何より素晴らしかったのは、選手同士の“つながり力”ではなかったでしょうか。

 つながり力には、大きく2つの意味があります。

 ひとつは、全体としての結束力。“二連覇”という高い目標に強いプレッシャーを感じながらも、目標に向けてひとつになっていく力――。これが結束力です。

 おそらく結束力とは、経験を共有したり、思いを共有していくなかで高まって行くものでしょう。そういう意味では、彼らが試合で修羅場を経験しながら勝ち上がっていく過程で、共有された意識があるのだと思います。

 特にこのチームの面白さは、「誰か1人のリーダーが、チームメイトを強く引っ張って行ったわけではない」ということです。