記憶力などに大きく関わるワーキングメモリは年齢とともに衰えやすいものです。

 しかし、トレーニングで比較的容易に向上することも知られており、「まちがいさがし」はワーキングメモリのトレーニングとして適しています。

 問題を解いて「面白い」と思うことで「扁桃体」という領域が神経伝達物質「ドーパミン」の放出を促します。ドーパミンは記憶力を高め、心地いいという気持ちや達成感、さらにやる気を高めます。プラス感情のときにさかんに放出されるドーパミンが神経細胞から神経細胞へ情報が伝達されることで、前頭葉をはじめとする認知機能を担う脳を活性化するいい刺激となります。

知的好奇心を刺激する
野鳥の姿と知識

 趣味にハマっている人は知的好奇心が次々と湧いてきます。知的好奇心が強い人ほど、高次認知機能を担う側頭頭頂部の萎縮が抑えられていることがわかったという研究があります。つまり、加齢による脳の機能低下が抑えられるわけです。

 本稿のまちがいさがしは野鳥の写真を使い、その生態などの知識を「ミニ情報」としてお伝えしています。

 名前は知っているけれど、その姿は見たことがない、逆によく見かけるけれども名前がわからない、など知っているようで知らない野鳥の視覚情報と文字情報が知的好奇心を刺激するといわれています。

 本稿の野鳥の写真を見て興味が湧いたら、外に出て散歩がてらに野鳥を探してみるのをおすすめします。

 散歩やウォーキングといった有酸素運動が脳細胞のエネルギー源とされる栄養素「BDNF」(脳由来神経栄養因子)を生み出すといわれています。この栄養素は記憶を司り、脳の中枢を担う「海馬」に大きく関わります。この栄養素は加齢とともに減っていきます。脳の萎縮が進んでいる人ほどこの栄養素が少ないのです。

 しかし有酸素運動をすることで海馬の体積を大きくして認知機能を高められることがわかっています。まちがいさがしを楽しんで、また野鳥についての知的好奇心を刺激し続けることで、あなたの脳は「健康脳」として活性化していくはずです。

 今回は例題として「メジロ」という鳥のまちがいさがしをご紹介します。