今回の報道に対する、携帯電話事業者の反応

 問題は、「マイナンバーカードの真正性チェックはそんなに難しいのか?」ということだ。

 今回のSIMスワップ事件では、ソフトバンクがSIMを不正に発行し、それが犯行に使われたと報じられた。この件に関し、5月9日の決算会見で、宮川潤一社長兼CEOは、現状、身分証明に関してマイナンバーカードについては、店舗では原本の確認と本人確認の二重チェックを行っていること、一部の店舗でそのプロセスが不十分であったことを認め、「ご迷惑をおかけして申し訳なかった」と陳謝した。その上で、再発防止の具体策は「明かせない」としつつも、「今のシステムの中で少し改造を行う」と述べている。

SIMスワップ被害回避のための対策とは?

 有効なSIMスワップ被害回避方法はあるのだろうか?

 身分証明書として運転免許証が利用される場合、その証明として免許証「番号」が控えられることがある。この「番号」には規則性があり、偽造防止には有効である。

 一方、マイナンバーカードの場合、12桁の「マイナンバー」は最初の11桁が住民票コードを復元することができ、最後の1桁はチェックデジットとなっている。しかし、マイナンバーは社会保障、税、災害対策のために行政機関などに提供する場合を除き、他人に提供してはいけないとされている。

 そのため、真正性を確認するためには内蔵ICチップデータの読み取りなどが必要だ。ただし、それにはカードリーダーやスマートフォン+アプリなどの設備が必要となる。

5月10日、デジタル庁の河野太郎大臣は会見を行った5月10日、デジタル庁の河野太郎大臣は会見を行った

 5月10日、デジタル庁の河野太郎大臣が会見を行った。それによれば、マイナンバーカードは目視でも偽造カードが判別できるチェックポイント(例:パールインキ印刷部分など)があり、これを注意深く確認することで真偽を見分けるよう事業者に呼びかけるとのことだ。また、マイナンバーカードの認証にはチップデータの読み取りが最も有効であるため、それを行うためのアプリの提供を検討(内部には、カード面記載の情報の他、公的個人認証サービスの電子証明書等が入っている)しているという。近い将来には、マイナンバーでの身分証明を行う場合、事業者はカードリーダーを使ってカードの内容を確認するようになるかもしれない。