(4)機会の損失

 私たちは先延ばし癖のせいで日常的に機会を逃している可能性が高い。たとえば、人気レストランの予約を先延ばしにして、もう遅かったときのことを思い出そう。

 航空券の購入を先延ばしにしているうちに、価格が高騰していたことはないだろうか?それどころか、すでにキャンセル待ちになっていたこともあるかもしれない。

 自宅の屋根の修理を先延ばしにしたとしよう。評判のいい業者が割引料金で工事を請け負っていたが、あなたは工事の依頼を先延ばしにしてしまい、気づいたときには業者の予定が詰まっていて、割引料金での工事を請け負ってもらえない。

 行動を起こすのを先延ばしにすると、仕事にもさまざまな悪影響をおよぼす。

 営業職に就いているとしよう。翌日に連絡しても差し支えないと思って、見込み客への確認を先延ばしにした。すると、その見込み客はすでに興味を失っていて、売り込みを受け付けなくなっている。さらに具合の悪いことに、その見込み客は連絡がないあいだにライバル社と取引することにした。その結果、手数料収入が得られず、売上が伸びなかっただけでなく、昇給の可能性を失ってしまった。

『「先延ばしグセ」が治る21の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『「先延ばしグセ」が治る21の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
デイモン・ザハリアデス 著、弓場隆 訳

 上司に提出する書類の作成を義務づけられているとしよう。だが、いつものようにその職務を先延ばしにし、ギリギリになって大あわてで書類の作成に取りかかる。この習慣のせいで提出期限に間に合わないか、ミスだらけの書類を急いで提出することになる。どちらの場合でも勤務評価は下がる。

 先延ばし癖はふだんの仕事ぶりにまざまざと現れている。その習慣は生産性を阻害している。つまり、課題を先延ばしにすればするほど、生産性は低下するのだ。さらに具合の悪いことに、先延ばしにした課題が積み重なるにつれて、時間を効果的に管理するのがますます困難になる。

 以上のいくつかの例は、先延ばし癖の代償が予想をはるかに超えていることを示している。この習慣は公私にわたって恐ろしく大きな悪影響をおよぼす。