なんでも先延ばしにしてしまいがちなのは、「意志の弱さ」ではなく「技術」の問題だった――。韓国で22万部のベストセラーとなった、「後回し」にしない技術とはなんなのか。韓国で100万人以上の人々に影響を与えてきた心理学者が、「実行力」を身につけるための秘訣を伝える。本稿は、イ・ミンギュ『「後回し」にしない技術 「すぐやる人」になる20の方法』(文響社)の一部を抜粋・編集したものです。
すぐに行動か、先延ばしか……
成果は「力量×実行力」で決まる
スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは、ただアイデアだけで最高のCEOになれたのだろうか。
彼らが偉大なのは、彼らの知識やアイデアがずば抜けていたからではなく、彼らが実行したからにほかならない。99%の平凡な人たちも、数千通りの優れたアイデアを持っている。ところが、彼らは実行しない。一方、1%の特別な人たちは違う。彼らはアイデアを必ず行動に移す。
同じ能力を持ち、同じことを願っている人でも、結果が千差万別なのはどうしてだろうか。それは、成果が力量と実行力を掛け合わせた値で決まるからだ。
つまり、「成果=力量×実行力」だ。力量とは才能、知識、創造的なアイデアと組織の企画力、革新的な戦略などを含む。だから、才能や知識、アイデアがいくら優れていても、実行力が0点なら成果もやはりゼロになってしまうのだ。
実行力は生まれつきの資質ではなく、学んで練習すれば誰でも開発できる、一種の「技術」だ。いつまでたっても行動に移せないのは、意志の問題ではなく、まだ効果的な方法を学んでいないからだ。ピアノが弾けなかったり、車の運転ができなかったりするのは、学んで練習していないからだ。
幸いなことは、実行力もピアノの演奏や車の運転のように、一種の技術だという点だ。だから実行力が足りなければ、実践のノウハウを学んで、練習すればいい。
実行力に優れ、それゆえ素晴らしい成果を上げる人たちには、自分の希望が明確で、アイデアを即座に行動に移すための”てこ”を持っているという共通点がある。
実行力は「決心ー実行ー維持」という3段階からなる。実行力にあふれた人になりたければ、この3段階に応じた、効果的なてこを準備する必要がある。アイデアを成果に結びつけるには、必ずこの3段階を踏まねばならない。本稿では、実行に関する具体的なケースを紹介し、実行を妨げる心理学的な問題を分析した後、読者と一緒になって、その解決策を模索する。いくらたくさん本を読み、いくら素晴らしいアイデアを持っていても、実行しなくては何の意味もない。
平凡な人と成功した人の違いは、知識ではなく実践にあり、成功した企業とそうでない企業の違いは、戦略ではなく実行力にある。個人であれ組織であれ、実行力こそが真の競争力なのだ。