そんな中、実は唯一成長率が拡大していたのが日本だったんです。22年の1.1%から23年は1.3%とわずか0.2%ではあるのですが、他の先進各国と比べれば順調な経済回復を示す内容となります。

 でも、その際にも日本経済を前向きに指摘する報道はほとんどなく、23年3月に発生した米国の金融機関の連鎖破綻を懸念する内容が多かったと思います。

 それから半年たった後の報告書でも、日本経済は堅調というのがIMFの見立てですから、海外投資家としては日本経済を悲観するような材料とは受け止めていなかったでしょう。日本人だけがなんだか後ろ向きの気持ちにさせられて、迫りくる株高の波に乗り遅れるなんてバカげた話です。いったい報道は誰の味方をしてるんだ?と訝(いぶか)しく思いましたよ。

 内外で、あるいは一般投資家とプロの間で、かなりの温度差を生じさせるような報道だったわけです。

生島 たしかに。どうしてなんですか?

岩本 日本はコロナ以降の経済回復も順調、ウクライナやガザからも遠く、地政学的なリスクについても当面の間は安心していられる、ということになると、日本株は海外投資家にとっても妙味が湧いてきます。海外へ投資する金融商品を扱っている人たちにとって「日本ダメ」論は都合がよいでしょうし、日本人の一般投資家が気づく前に日本株を安く仕込んでしまおう、という投機家や投資家が国内外を問わずいるかもしれませんね。