この結果から、継続して予習に取り組むためには、まず負担感を減らすこと、つまり、なるべく簡便な方法で予習することが大切になります。

予習の負担感を減らすには
「なぜ」より「そもそも」

 予習では、次の授業で何を学ぶのかを把握しておいて、その過程で得た知識について「なぜ~~なんだろう」という疑問を持ち、そした問いを解消しようと授業を受けることに意義があります。

 ただし、これだと負担感が強まって、大変な感じがするときは、「そもそも」というキーワードをもとに予習するとよいでしょう。

「なぜ」は、知識の根拠や理屈を押さえることにつながり、知識を精緻なものにします。一方で、「そもそも」について考えることは、自分の言葉で噛み砕いて言い換えることになります。そのため、知識の精緻化が促されます。同じように精緻化を狙った活動ですが、「なぜ」よりも「そもそも」の方が少しハードルが低い感じがするのではないでしょうか。

 この「そもそも」について考えておけば、授業で出てくる言葉と結びつけていくことができるようになります。

 たとえば、数学や理科の勉強ではいろいろな用語が出てきます。数学で「虚数」や「等比数列」、物理で「質量」や「モーメント」などの用語が教科書に出てきた時に、「そもそも虚数って何?」「そもそもモーメントって?」といった問いを立てておけば、授業ではその意味に注目しながら学習をすることができます。

 このように、一つ一つの言葉に注目する予習方法は、筆者の調査でも効果があることが実証されています。この調査では英単語の意味を調べておくことで、授業では「なぜその単語がそのような意味を持つのか」や「似た意味を持つ単語としては何があるのか」などの学習につなげていくことができることが示されています。

「そもそも」をキーワードに予習をして授業を受けていけば、単に知識を頭に詰め込むだけではない、質の高い学習ができるので、意識してみるとよいでしょう。

「問いを作ろう」と気張らないことも大切です。授業の全体像を掴んで、特に注意したいポイントがわかればよいわけですから、わからなかったところに下線を引くだけでもポイントは押さえることができます。