あらゆる仕事を「表」にまとめると、さまざまな効果が得られる。しかし、一朝一夕で完璧な「表」は作れないため、一番の近道はPDCAを高速で回すことだという。ソフトバンクに在籍し、表を駆使して同社の「PCR検査センター」をゼロから立ち上げた池田昌人氏が、PDCAの重要性を知ったきっかけとは。※本稿は、池田昌人著『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
うまくいかずとも「表」を作り
PDCAを回すのが上達への道
実際にご自身で表を作ってみると、なかなか思うように埋まらない、ということがあると思います。どうすれば、表をうまく作れるようになるか。
そのポイントはたった1つです。とにかくやること。それも、何度でもやることです。
ビジネス書によくある言い方をすれば、「表づくりにもPDCAを高速で回す」ということです。
私が行っている企業や行政向けのセミナー「池田ゼミ」は、通常、朝9時過ぎから夕方5時まで、まるまる1日かかります。その終盤となる4時頃にいつも行っているゲームがあります。それは、「マシュマロ・チャレンジ」というものです。
数名がチームを組み、乾燥パスタ(スパゲティ)、マシュマロ、ハサミ、マスキングテープ、ヒモを使って、「いかに高い自立式のマシュマロ・タワーを建てられるか」を競います。制限時間は18分。
18分後に床からマシュマロまでの高さを測り、一番高かったチームが勝利、というシンプルな仕掛けです。
各チームは、細い棒状のスパゲティをいかにつなげるか、どう強化して自立させるかなどを考えていくことになりますが、実はこのゲームは、最初の数分間の取り組み方を見ていると、「勝てるかもしれないチーム」と「きっと勝てないだろうチーム」がわかります。
両者は、何が違うのか。それは、試行錯誤の回数です。
配られているのは、折れてしまえば元には戻らないパスタと、切ってしまえばつながらないヒモ、穴を空けてしまえば戻らないマシュマロ。試行錯誤すればするほど、条件が悪くなっていくように思えます。
それで多くのチームは、どういう戦略でいくのかを最初に話し合って、どうにかしようとする。
「ああすればうまくいくんじゃないか」
「こうしたほうがいいんじゃないか」
机上の空論で話が進められていくのです。