そしてある程度、煮詰まり、残り時間も少なくなったところで、やってみる、となりますが、これがうまくいきません。
というのも、マシュマロはみなさんが考えるより重いし、パスタは細くて大きくたわんだり折れたりしてしまうし、ヒモは短い……。
やってみて初めて、こうした障害に気づくことになるのです。
いくら材料を目の前に置いてあれこれ議論をしていても、やってみての気づきにはかないません。
では、どんなチームが勝つのか。それは、最初からマシュマロに触り、パスタで刺し、ヒモを結び、と、試行錯誤し始めたチームです。
あれこれ考えるより前に、やってみる。パスタ1本で支えられなければ、2本を束ねてみる。それでもダメなら3本にしてみる。もちろん準備は必要ですが、机上の理論より、「とにかくやってみる」ことがとても大切です。やってみるからフィードバックが得られる。課題が見つかり、それを解決していける。
シンプルなPDCAですが、これをできるかどうかが結果の差となって現れます。
実際、このゲームは大人と子どもで競わせると、子どものほうが平均して高いタワーを建てることがわかっています。その理由も、同じです。子どもたちはまず面白がって、あれこれ試行錯誤し始めるからです。
ソフトバンクのPDCAが
ケータイ業界を変えた
本稿を読んでいる方の中には、ソフトバンクがもともとボーダフォンという会社であり、さらにはJフォン、東京デジタルホンという会社であったことをご存じない方もいるかもしれません。
ちょうど社名がソフトバンクに変わった2006年頃、私はといえば、携帯電話をローンで売る「スーパーボーナス」というサービスを担当していました。
それまで売り切りが基本だった携帯電話を、様々な割引サービスを組み合わせた割賦方式で売る。今でこそ当たり前の売り方ですが、当時は業界初で画期的な試みと見られていました。
さて、このサービスを担当することになったものの、私は生意気にも、
「そんなもの売れるわけがない」
と反発していました。こんなにわかりにくいシステムがユーザーの理解を得られるはずがない。