それまでボーダフォンで曲がりなりにも携帯電話の販売プランを企画していた私には、この販売方式は不可思議で仕方なかったのです。

 ところが……。この私の読みは、結果的に大間違いでした。3年後には契約数が1500万件を突破。当時、契約数が伸び悩んでいたソフトバンクにとっては大きな力となり、この販売方式がやがて業界の常識になっていくのです。

 では、なぜこの仕組みで売れたのか。ここで関わってくるのがPDCAです。

 この売り方で契約数を伸ばせるかどうか。実はこれは、ソフトバンクにとっては大きな賭けでした。電電公社→NTTから生まれたdocomoと、電電公社→国際電電→KDDIから生まれたau。

 2つの「元国営企業」と同じ土俵に立てるのか。当時はちょうど、そのターニングポイントにありました。

 他社が売り切りでやっているのに、割賦にする。あえて複雑になった売り方は、確かにすぐに受け入れられたわけではありませんでした。しかしそれでも、全国でところどころ、「売れる地域、売れるチャネル、売れる営業パーソン」が出始めました。

 なぜその地域では売れたのか。営業日報を日々分析し、売れた成功例を爆速で横展開するというPDCAによって、総合評価の上位が日々ブラッシュアップされ、最適解の営業スタイルが生まれたのです。

書影『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)
池田昌人 著

 表づくりも同じです。「このやり方だ!」と思ったら、とにかくやってみる。PDCAを回していけば、どんどんブラッシュアップされ、どんどん成功率が上がっていきます。

 表づくりは、一度めからうまくはいかないかもしれません。

 しかし、それでも諦めることなく表で分析し、考え、検討していただきたいと思います。

 その試行錯誤によって、あなたにより合った方法が見つかり、表によって得られる効果が高まっていくことは間違いありません。