インターンシップ等のプログラムの参加目的(複数回答)は、「業種理解」と「仕事理解」がいずれも7割前後と最も多く、学生が、働くこと全般について知り、これから働く業種を選ぼうとしたことが推測されます。

 プログラムへの参加時期による目的の変化に注目すると、「企業・各種団体等の事業内容理解」と「企業・各種団体等の職場の雰囲気を知る」という目的が、23年9月以前と比べて同年10月以降で増えていました。就活を進めながら業界や個別の企業についての情報を段階的に増やし、内容を深めていこうとしたことがわかります。

 実は、企業からの情報提供と、学生の情報収集の間にはギャップがあり、企業は「しっかりと情報提供した(開示した)」と考えていますが、学生は「知ることができた」と捉えているとは限りません。企業側の供給と学生側の需要の間には質的なミスマッチがあり、本当に知りたい情報を集め切れている学生がそれほど多いわけではありません。

 当研究所が2024年卒の学生の就職活動と企業の採用活動について調査・発表している『就職白書2024』によると、「具体的な仕事内容」に関して、「情報提供した」と回答した企業が90.0%だったのに対し、「知ることができた」と答えた学生は48.6%でした。「社内の人間関係」については、60.3%の企業が「情報提供した」と答えていますが、「知ることができた」という学生は29.7%。また、「社風・企業文化」も、企業側の79.1%に対して学生側は41.2%に留まっています。

 本当に知りたい情報を求める学生にとって、企業の仕事内容や社内の雰囲気に直接触れられるインターンシップへの参加は、有力な選択肢になりえるでしょう。やりたいことが明確になっている人は、プログラムへの参加を通じて、やりたいと思っていたことが本当に自分に合っているのか、仕事は自分のイメージ通りなのか、などを確かめることができるでしょう。まだやりたいことが曖昧だという人であっても、自分のやりたいことや、自分に向いていることを探しながら参加することは有益だと考えられます。インターンシップ等を通じて体験した職場やそこで働く人たちが、自分だけでは気づけなかった強みや、自分らしさに気づかせてくれるかもしれません。

インターンシップを
企業理解・自己理解を深める機会に

 では、インターンシップに参加するにあたり、学生の皆さんはいつからどのように動いているのでしょう。24年卒の学生を対象にした調査では、インターンシップ・1day仕事体験の参加時期は、卒業年次前年の8月が63.1%と最も多く、次いで翌9月が52.1%でした。夏の長期休暇を活用してインターンシップ・1day仕事体験に参加する学生が多かったことがわかります。

 ただ、インターンシップは企業が受け入れられる人数に限りがあるため、多くの企業が参加者の選考を行っています。そのためインターンシップ参加に向けて、大学3年(あるいは修士1年)の春の段階で、「志望動機」や「自己PR」、「インターンシップで学びたいこと」「学生時代に力を入れて取り組んだこと(ガクチカ)」などを用意して、選考を通過するための準備をする学生が少なくないと考えられます。