政府による洋上風力発電プロジェクトコンペ「第3ラウンド」が青森県と山形県の2エリアを対象に始まった。7月の公募締め切りを前に、エネルギー会社をはじめ、大手商社や不動産デベロッパー、外資勢なども入り乱れ、水面下で激しい駆け引きを繰り広げている。加えて、混戦模様を呈している「第3ラウンド」に、エネルギー業界では“門外漢”といえる超大手企業が本格参戦する方針を固めたことが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。長期連載『エネルギー動乱』内で配信予定の特集『混戦!洋上風力第3ラウンド』の#1では、洋上風力分野に参入する超大物の実名に加え、門外漢を引き入れた黒幕の正体を明かす。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
第2ラウンドまでで必勝体制が固まり
新規参入の余地は少なくなったが…
政府による洋上風力発電プロジェクトコンペは、青森県日本海(南側)と山形県遊佐町沖を対象とする「第3ラウンド」を迎えている。
第1ラウンドでは、三菱商事陣営が3エリアを総取りし、第2ラウンドは国内最大の発電事業者であるJERA、ドイツのエネルギー大手RWE、住友商事、石油元売り最大手のENEOSホールディングスの子会社、ジャパン・リニューアブル・エナジー(今年4月からENEOSリニューアブル・エナジーに社名変更)の4陣営が勝利を分け合った。
実のところ、これまでの戦いで、洋上風力発電プロジェクトコンペの“必勝体制”は固まってしまったといえる。
具体的には、三菱商事は中部電力の子会社、シーテック、JERAはJ -POWERと伊藤忠商事、RWEは三井物産と大阪ガス、住友商事は東京電力リニューアブルパワー(RP)といった“メインパートナー”がそれぞれ存在している。
国内において洋上風力発電事業を進めるためには、基本的に政府によるコンペを勝ち抜かなければならない。従って、洋上風力発電に参入したい事業者は、これらの必勝体制に食い込んで“勝ち馬”に乗りたいところ。
だが、あるエネルギー業界関係者は「第2ラウンドまでの勝者は、勝ちパターンを変える必要性に乏しい。勝ち馬に乗りたいと考えてアプローチしてくる“よそ者”は邪魔でしかない」と断じる。
つまるところ、洋上風力発電分野への新規参入は、ラウンドを重ねるごとにますますハードルが高くなっているのだ。
そんな中で、洋上風力発電分野に本格参入する決断をした超大物プレーヤーがいる。しかも、その正体はエネルギー業界とはほぼ無縁だった“門外漢”である。そんな怖いもの知らずが、第3ラウンドに参入することが、ダイヤモンド編集部の取材で判明した。
次ページでは、第3ラウンドに参入する超大物の実名とともに、その超大物をパートナーに引き込んだ“黒幕”の正体も明かす。黒幕にとって、この超大物は、「本命不在」で混戦模様ともいわれる第3ラウンドを勝ち抜くために強力な助っ人といえるのだ。超大物の参戦とも絡む、第3ラウンドの勝敗を分ける可能性があるポイントについても解説する。