オフィスをながらく回してきた「主」の
プライドが改革に立ちはだかる
「現場の主」が、古い仲間だったあなたに、なぜ反対するのか。
それは「何をいまさら」という憤りなのです。
時短改革は、それまで《現場》が積み上げ、編み上げてきた業務プロセスを否定する行為です。中でも「主」のプライドをいたく傷つけるものです。
「次から次とダメなやつしか経営者にならない、こんなポンコツな会社だけれども、先輩や自分たちが丁寧に耕してきた『畑』だけは、自分の職歴の最後までは、しっかりと維持してみせる」
そのプライドを持った方々に伝言ゲームで「このたびわが社は時短に取り組むことになった。ついては現場で知恵を絞ってもらいたい、以上」などと言い放ったら、逆効果もいいところです。
社長が自ら「主」と1対1で会って、面と向かって話す。そこからです。
その際、すべきことはただ1つ。率直に謝ることです。これまでの経営陣の「丸投げの非」を認めるのです。
そのうえで、以下の3つを強調してください。
(1)社長である私の責任で、私が指揮をとって時短改革を進めます。けっして誰かに丸投げするようなことはしません。
(2)とはいえ長年、(たとえば)経理業務を仕切ってきた〇〇さんの知見がなければ、到底改革はできない。どうか、お知恵を貸してください。これまでずっと、「こうだったらいいのに」とか「こんなの本当に無意味、やめればいいのに」と思ってこられたことを、すべて教えてください。
(3)部署をとりまとめて会社に協力していただくようにするのは、あくまでも部門長の仕事です。とりまとめ役を買って出てほしいなどとは、けっして言いません。そんなリスクをあなた個人に負わせることはしません。