社員すべてをあつめた「集会」で
不満を吐き出せることが改革の第一歩

「主」にとりまとめのリスクを背負わせないためにも、部署の社員全員との「集会」を開催します。「時短プロジェクト全体説明会」「実務推進者説明会」などプロジェクトの説明会のことです。

 これは、「社の決定事項を下達するための儀式」とはまったく違います。

 本来は、社長のあなたがすべての部署の集会で語りかけるべきでしょう。しかし、どうしても1人では回り切れない場合には、社長の代わりにそこに立つ幹部たちに、どうコミュニケーションすべきかを教え込まなければなりません。けっして幹部個人のアドリブに任せてはいけない。

 これはかなり重要なポイントで、ここで幹部が失言すると、その部門だけでなく全社に瞬く間に拡散し、「あ~、やっぱり」となります。

 説明会が会社側の幹部や担当者に対する「つるし上げ集会」になる場合も多いです。そこでうろたえて、つい、「これまでの現場のやり方にムダがあった」などと口走りそうな幹部は、社員の前に出してはいけません。

 時短改革は、従来の業務の否定にほかなりません。

 しかし、悪いのはムダだらけの業務プロセスを積み上げて編み上げてしまった現場ではなく、業務プロセスづくりをそれぞれのオフィス現場に丸投げしてきた歴代の経営陣です。

 そこをごまかさず、きっちりと説明しきれる方でなければ、壇上に上がらせてはいけません。

 私たちも、電通では部署ごとに何度もプロジェクト説明会を開いてもらいました。

 重要なことは、時間配分です。説明は長くても20分、質疑応答に40分かけるつもりで行いましょう。

 そして集まったみなさんから、「会社はこれまで業務をわれわれ現場に丸投げしてきたのに、急に協力しろとはどういうことか?」「業務のムダを現場のせいにして、また経営陣だけ逃げ切ろうと思っていないか?」「ずいぶん身勝手だと思わないか?」といった追及の声を、どんどんあげてもらいましょう。

 こういった現場の実情を、説明会という場をもって、あえて言葉にして吐き出してもらってください。これは改革プロセスの初期にかならず通らなければならない、重要な関門です。