「4つの軸」は全部を
魅力的に書けなくてもいい

 とはいえ、4つの軸を書くのはなかなか大変です。「4つの軸で書ける魅力なんてない!」と思う方もいるでしょう。

 でもご安心ください。4つの軸すべてが魅力的である企業は存在しません。そもそも完璧な企業なんて、ちょっと気持ち悪いですよね。

 求職者にとっては、魅力もデメリットも、どちらも知りたいと思うのが心情です。

 デメリットを隠すのではなく、むしろ情報をオープンにしたうえで応募者に「選んでいただく」というスタンスが大事なのです。

 実際、私がコンサルに入ったとある会社も、以前は条件軸しか書かない企業の1つでした。

 そこで私は担当者のSさんに「最初からきちんとした文章にしなくて十分です。まずは思いつくまま箇条書きに、4つの軸に沿って会社の情報を書き出してみてください。もちろん、自分の書ける分だけで大丈夫です」とアドバイスしました。

 Sさんは社内情報の文章化に取り組みました。自分でわからないことは現場に出向き、積極的に情報を集めていきました。

 すると、これまで求人原稿には、会社パンフレットにしか載せていないような、表面的な情報ばかり掲載していたことが徐々に見えてきました。

 求職者が本当に知りたかったのは、「現場のリアル」です。

 Sさんが現場でさまざまな話を聞く中で、採用で求められる人材の傾向と求人原稿の内容にズレがあることが明らかになりました。

 以前は、この会社の応募者は1年間で4~5人ほどでしたが、4つの軸で募集を行うと、毎月10~20人前後、年間100名以上の応募者の獲得に成功しました。