もちろん、「それなりのスーツ」や「いい腕時計や靴」を自分の意思で選んでいるのであれば、なんの問題もありません。
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また、営業職の人であれば、服装や身だしなみにお金をかけることは、成績アップ・収入アップのための投資になる場合もあります。この本では、おもに貯金や節約について書いていきますが、一方で、このような収入を増やすための自己投資にお金を使うのも、とても大事なことでしょう。
問題は、そういった明確な目的のある買い物ではなく、単なる見栄や広告に乗せられて「なんとなく」お金を使ってしまうパターンです。
「自分軸」や「人生のなかでの優先順位」が明確になっていて、自分が本当に大切にしたいこと、お金や時間を費やしたいものが決まっているのであれば、それを大事にしていけばいいでしょう。
しかし、「お金を使わせよう」とする広告やマーケティングはとても巧妙です。「これが普通」「これをやるべき」という固定観念は、知らず知らずのうちに、わたしたちの思考のなかに深く刷り込まれているのではないかと思います。
「お金を使おう」としているとき、それが本当に自分の意思によるものなのか、それとも世間の「普通」や「流行り」に流されているだけなのかを見極める作業は、わたしにとってはなかなか難しいものでした。
「自分が本当にほしいものってなんだろう?」
「わたしが一番大切にしたいものはなに?」
こうやって、お金の使い方に疑問を感じられるようになったのは、転職によって仕事のストレスが改善され、自分と向き合う時間と心の余裕ができたからでした。
「これって、本当に自分にとって必要なものかな?」
この問いかけにはっきりと答えられない買い物であれば、いちど財布はバッグのなかにしまいましょう。その物欲は、世間体や固定観念に流されているだけなのかもしれません。
それに気づくことさえできれば、「本当に必要なもの」以外はほしいと思わなくなるので、「我慢」の必要すらなくなるのです。