本を読む女性写真はイメージです Photo:PIXTA

他人とは違う「自分らしさ」を探せば探すほど、「充実した自分らしい人生」を生きている人が目につき、自分らしさを見出せず苦しむ人が多いそう。その苦しみの原因と解決策を、チャンネル登録者数66万人超の人気“YouTuber和尚”が教えてくれる。※本稿は、大愚元勝『これでは、不幸まっしぐら 今すぐ変えたい30の思考・行動』(株式会社佼成出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

「他人とは違う自分でありたい」
その気持はあなたの本心ですか?

「自分らしさがわからない」――インターネットが発達し、SNSで他人の生活がよく見えるようになった現代で、とくに顕著に生じている悩みではないかと思います。人とは違う「自分らしさ」を求めて、多くの人が悩んでいるのではないでしょうか。

 日常生活でも頻繁に登場する言葉にエゴがあります。これは辞書的な定義ではなく、私が感じていることですが、簡単に言うと「はからいのひとかけら」を意味するものです。人間は自分の存在価値を自覚することで自尊心を満たしたり、得をしたりするなど、心地よい感覚に浸れることを求めて生きています。それを満たそうとするうえで、たくさんの計算が生まれる。これが「はからい」です。

 そして私たち人間は、親や友人、職場の同僚、上司など、関わる人のエゴを受け取りながら生きています。これは無意識のうちに蓄積されていき、私たちが何かを判断したり、選択したりするときに、影響を及ぼします。

 たとえば、自分の将来を考えるとき。「独立して、自分のキャリアを築いていこう」と決断すると、「企業に雇われてサラリーマンとして生きていくほうが安泰だよ」という親のエゴの断片が心に生じては、邪魔をしてくるかもしれません。物を選ぶ場合でも、「これがいいな」と思ってみたけれど、「こっちのほうがいい」と言っていた友人やSNSでのエゴがちらついてきて、「やっぱり別のものがいいかな」と迷ってしまう。自分のなかに蓄積された他人のエゴに振り回されていることが、迷いの原因だと言えるのです。

 しかし、本当に自分を苦しめるのは、実は自分自身のエゴなのです。

「私らしさ」を求めようとすればするほど、“他人とは違う自分”を探そうと躍起になります。この、「他人とは違う自分であらねばならない」というエゴが、自分を苦しめています。

「私」「私らしさ」「私だけ」「私しか」という考え方は、人間が社会化していく過程のなかで、“私”というエゴを芽生えさせることによって出てきた、自分を惑わせる根源の一つです。テレビでも「あなたらしさを」とか「あなたの価値観を大切に」と言われたりしますが、“もっていなければいけないと思うのに、もっていない”から苦しいのです。