食養生は中国の古くから伝承されている、健康を維持するための知恵です。中国の伝統医学は4000年もの歴史を持つともいわれています。その基本となる考えは陰陽学と五行説の考え方です。特に「陰陽」はすべての基本となります。
「陰陽」は、自然の変化の観察から得られたものですが、人間も自然の一部として捉え、“自然に沿って生活していけば、おのずと健康になる”という考え方です。太陽が昇るとともに起床し、太陽が沈めば休息します。
ご存じの通り、太陽は季節によって昇る高さを変えていきますが、それに伴って「陰」と「陽」が増えたり減ったりします。
図のように、春分から夏至にかけては陽が成長し、陰が消滅します。夏至から秋分までは陽が減ってゆき陰が成長します。秋分で陰陽が交代して冬至に向けて陰がさらに成長し、陽は少なくなります。そして冬至から春分に向かって陰が消滅し陽が成長します。このサイクルを基本に、体の中の陰陽のバランスを取りながら健康を維持していきます。
今回から12回にわたり養生法、特に季節に合った食養生のお話をしていきます。
春が終わる4月は、陽の気も盛んになってきます。自然界でも木々の芽が伸び、どんどん成長していく時期です。人の体も活発に動く時期で、冬の間、体にため込んでしまったいらないものを出すための働きが活発になります。少し早起きして、ゆっくり過ごすことで体の働きも順調になります。
4月は新たな出発の時期でもあり、緊張している方も多いと思います。緊張をほぐすには、深呼吸をして手を木の枝のように伸ばしてリラックスすることがとても大切です。
春に出回る苦みの山菜類、タケノコなどは体の中をお掃除します。また、春が旬の海藻、貝類も肝の働きを助けます。これらを積極的に取って、新年度のスタートを切りましょう!
ワカメの酢の物、貝とワケギのからし酢味噌和え、山菜の天ぷら、アサリとタケノコの炊き込みご飯またはパスタ、タケノコとイカの木の芽あえなど。