朝食のことを英語ではbreakfastといいますが、これは「断食を破る」という意味です。胃は就寝中にも明日の食事に備えて一生懸命自らを掃除しています。目覚めたときに空腹を覚えるのは健康な証拠。

 朝食のメリットは何でしょうか。まず、咀嚼することで嚥下するための唾液が出て、さらに香りや味とともに脳を刺激して目覚めさせていきます。食物が胃に入ると胃が動きだし、それと連動して小腸、大腸なども動きだして体全体が目覚めるのです。よく噛んで食べ、大腸に刺激が伝わるのを待ってから排泄を済ませれば、昨夜胃が掃除して大腸に送った不要なものが体から出ていきます。

 朝食で取った栄養は腸から吸収されて分解、代謝され、血液に乗って全身の細胞に送られていきます。特に脳は体の中で一番エネルギーを必要とする場所。脳のエネルギー源は糖質ですが、甘いものだけ食べていればよいわけではありません。

 理想的な朝ご飯は、味噌汁、納豆、青菜のおひたし、浅漬けなどといった定番の和食。納豆が優れた食品であることは知られていますが、豆そのものを食べるよりも、発酵食品なので消化もよいのです。ご飯の糖質を納豆や味噌汁に含まれるビタミンB群が代謝してエネルギーに変えてくれます。浅漬けの食物繊維は腸の働きを活発にしてくれます。このような朝食が無理な方でも、バナナ1本でも取るようにしましょう。

 エネルギーが注入された脳で仕事をするのと、ガソリン切れの車を無理して押すように脳を働かせるのとでは当然、仕事の能率や内容に違いが表れます。朝食をしっかり取って、万全の態勢で仕事に励みましょう。

ビタミンB群が豊富な納豆は、ご飯の糖質の代謝も助けてくれる
撮影/中川真理子

● 朝にお薦めの 納豆卵かけご飯
 
材料(1人分):
納豆1パック、卵1個、すりゴマ小さじ1、アサツキの小口切り少々、だし割り醤油大さじ1/2
 
作り方:
(1)器に納豆を入れてよくかき混ぜ、割りほぐした卵とアサツキ、だし割り醤油を加えてかき混ぜる。
(2)(1)にすりゴマを加えてさらによく混ぜる。(3)(2)を温かいご飯にかける。
 
*時間があれば薄切りにしたオクラや、のりなどを加えてもおいしい。