優れたアイデアや表現を生み出すための最強技法と意識改革をまとめた書籍『インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。』(菅付雅信 著)が刊行されました。
アウトプットの質と量は、インプットの質と量が決める。もしあなたが「独創的な企画」や「人を動かすアイデア」、「クリエイティヴな作品」を生み出し続けたいのであれば、やるべきことはたった1つ。インプットの方法を変えよ!
この連載では同書内容から知的インプットの技法を順次紹介していきます。今回は、世界的に有名な作家レイ・ブラッドベリが勧めるシンプルな知的習慣について。
誰でもできる、寝る前のインプット習慣
「読書」こそが最強のインプットである、というのが私の持論だ。読書がいいのは、常に頭に適度な負荷がかかることに加え、大量のインプットに向いていることだろう。いつでもどこでも実行することが可能な、まさに日常のルーティンに適した頭のトレーニングとなる。
『華氏451度』などで世界的に有名な作家、レイ・ブラッドベリが、2001年に行われたあるシンポジウムの基調講演で非常に興味深いことを語っていた。クリエイティヴになるためには、1000日間(約3年間)、毎晩3つのことをするよう、聴衆にアドバイスしているのだ。
「よりクリエイティヴになりたければ、今日から1000日間、毎晩寝る前に、次の3つのとてもシンプルなプログラムを行ってください。
まず、短編小説を1つ読む。10分か15分くらいで読み終えるものを。
つぎに、膨大な詩の歴史の中から1篇の詩を読み上げましょう。なるべく偉大な詩人のものを読んでください。現代詩はくだらないので無視してかまいません。
最後に、あらゆる分野のエッセイ(論考・随筆)を1つ読みます。考古学、動物学、生物学、政治学、偉大な哲学者たちの書いたものを。
毎晩寝る前に短編小説を1つ、詩を1つ、エッセイを1つ頭に詰め込んでいると、千夜の終わりには、あなたの頭はアイデアや比喩でいっぱいになっているでしょう」
このブラッドベリの指南する方法は、ひとつの有効なインプット・ルーティンだろう。高負荷とまではいかないが、負荷のある読書習慣のスタートとして、まずはおすすめしたい。
(本原稿は菅付雅信『インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。』から一部を抜粋・編集して掲載しています)
編集者/株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役
1964年宮崎県生まれ。『コンポジット』『インビテーション』『エココロ』の編集長を務め、現在は編集から内外クライアントのコンサルティングを手がける。写真集では篠山紀信、森山大道、上田義彦、マーク・ボスウィック、エレナ・ヤムチュック等を編集。坂本龍一のレーベル「コモンズ」のウェブや彼のコンサート・パンフの編集も。アートブック出版社ユナイテッドヴァガボンズの代表も務め、編集・出版した片山真理写真集『GIFT』は木村伊兵衛写真賞を受賞。著書に『はじめての編集』『物欲なき世界』等。教育関連では多摩美術大学の非常勤講師を4年務め、2022年より東北芸術工科大学教授。1年生600人の必修「総合芸術概論」等の講義を持つ。下北沢B&Bにてプロ向けゼミ<編集スパルタ塾>、渋谷パルコにて中学生向けのアートスクール<東京芸術中学>を主宰。2024年4月から博報堂の教育機関「UNIVERSITY of CREATIVITY」と<スパルタ塾・オブ・クリエイティビティ>を共同主宰。NYADC賞銀賞、D&AD賞受賞。